「グローバル」と聞くと、反射的に「これからは日本人もどんどん海外にでていかなければぁ」と思いがちですが、実は世界各国もグローバル化の悩みは同じ。

いや、むしろ、過去の宗教的/経済的な対立があった分、欧米諸国の方がグローバル化に対して、よりハードルが高いかも知れません。たとえばそれは、中東の問題を考えるときでも、2,500年前のバビロン虜囚や1,000年前の十字軍遠征から解きほぐさなければならないように。

そんな欧米諸国におけるグローバル人材育成の努力を概観できるのがこちら。

マーク・ガーゾン著、世界で生きる力――自分を本当にグローバル化する4つのステップ

膨大な情報量と真摯な語り口で、欧米諸国の草の根的な「グローバル化」の取り組みとマインドセットが解説されています。

正直なところ、日本人にはピンとこないところもあるのですが、それでも参考になるところ間違いなし。

以下、ポイントを。

●要するに、私たちはみな一生顔を見ることもなく、その言語の改札その名を聞いてもわからないかもしれないような人々の判断や行動に大きく影響を受けており、そうした人々もまた私たちに影響を受けている。

●実は数ヶ月前、アメリカの大学で同じ質問をしたのです。その時の結果は今と全く正反対でした。…アメリカの大学生が、現在の酷い状況は中国政府に好きになると考えていて、チベット人の生活は誰も思っていなかったのです。…こんなふうに全員が全く同じように物事を考える授業で優れた教育が受けられると思います?…多様な意見によって皆さんはより賢くなりこの国は良い感じになると思いますか

●人は8つのレベルでグローバル
1 私たちの遺伝子はグローバル
2 私達の体はグローバル
3 私たちの社会はグローバル
4 私たちの経済はグローバル
5 私たちの環境はグローバル
6 私たちの持ち物はグローバル
7 私たちの市民生活はグローバル
8 私たちの宗教でさえもグローバル

●グローバル人材に求められる4つもの
1 直視する力
-だが宇宙飛行士たちの言葉を紹介する前にまずは的とカメラを要求した彼らの先見の明に感謝しよう。周りの世界をしっかりと見て、その経験を他者と共有するべく全力を傾ける。
これこそ直視の本質だ。直視とはただ見るというだけではない。世界を見る際に通すレンズの存在を認識するということだ。世界考えるためにはまず自分がレンズを持っているのだと意識しなければならない。

-ネスビット、「思考の地理学アジア人と欧米人の考え方が違う理由」
2 学ぶ力
3 連帯する力。
4 助け合う力

●すべての遺伝子を遡っていくと共通の祖先にたどり着くという結論に達した。
2人はあらゆる人類がこの共通の祖先から生まれたという仮説を立てながら、その祖先はアフリカのイブと呼ばれるようになった。
この共通の遺伝子的要素が自分にも受け継がれている証拠がほしければ有料で自分のdna をさかのぼることができる。

●連帯を可能にする様々な能力を詳しく見ていこう
1 可能性を広げる質問を投げかける
2 自分や他人を人間として形作っている複数のアイデンティティを直視する
3 好ましいものでなくとも他者の言葉に真摯に耳を傾ける
4 相手を判断するのではなく、共通点を見いだすためにコミニュケーションツールを活用する
5 敵対する相手と対面し、意見を聞く自制心を持つ
6 不当な行為に対しては復讐ではなく、和平を模索する。

●自分のグローバル化するための情報源
1自が変わる
 アバーズ  http://www.avaaz.org/jp
 エドモンド・ボーン、「グローバルシフト 新しい世界観が人類を変える」
 エド・シャピロ、「自らが変わる瞑想によって自分自身と世界を変える方法」
 シック、「自らが変わる 平和構築者と正義の探究者のための詩、祈り、瞑想」

2 脳の両側を使う
 ハートマス研究所 http://www.heartmath.org/
 ダニエル・ピンク、「ハイコンセプト」

3 根源的なルーツを探る
 ジェノグラフィック・プロジェクト  https://genographic.nationalgeographic.com/genographic/index.html
 グローバル・ワンネス・プロジェクト http://www.globalonenessproject.org/ 

4 家にちゃんとドアをつけておく。
 グローバル・シティズンシップ教育 http://www.oxfam.org/uk/education
 忍耐を教える-心を開かれた強化することのできる子育てる

5少数派の視点で考える
 グローバルヴォイス 
 アンワル・マジッド、「私たちはみなムーア人である」

6 学び続ける-無知でいる方法も含めて
 グローバリスト www.http://globalvoicesonline.org/
 鈴木、「禅のいざない」

7 自分の世界観を事実に照らし合わせる
 グローバル・イシュー http://www.globalissues.org/
 ジャクソン「ときほぐす 虚報に満ちた世界で真実を見つける」

8 敵を知る-徹底的に
 サーチ・フォー・コモングラウンド http://www.sfcg.org/
 キーン、「敵の顔 憎悪と戦争の心理学」

9. 固定観念を信頼関係と進化させる
ロータリーインターナショナル http://www.rotary.org/en/Pages/ridefault.aspx
ワールドラーニング http://www.worldlearning.org/

10 マインドを広げる質問をする
 国際教育交流協議会 http://www.nafsa.org/
 欧州国際協力協会 http://www.eaie.org/
 アジアソサエティ http://asiasociety.org/
 ワールドカフェ http://theworldcafe.com/
 チャンダ、「グローバリゼーション人類5万年のドラマ」

11地球の声に耳を傾ける
地球憲章イニシアティブ  http://earthcharterinaction.org/content/
パチャママalliance http://earthcharterinaction.org/content/
グレイ、「世界の聖地」

12 上手くいく方法を忍耐力探る
アプリシエイティブインクワイアリー・コモンズ http://appreciativeinquiry.case.edu/
オード http://www.odemagazine.com/

13境界線を越えて行動する
e国会 http://www.e-parl.net/eparliament/welcome.do
グローバルアクションネットワーク  http://www.scalingimpact.net/gan
ローゼンバーグ、「国境越えて-国際問題について批判的に考える」

14利益と価値の両方を考える
センター・フォー・グローバルシティズンシップ http://kellogg.northwestern.edu/research/fordcenter/
イクレイ-持続可能性を目指す自治体協議会 http://www.iclei.org/
ピーター・センゲ、「持続可能な未来へ」

15遠近両方に旅する
グローバルダイバーシファンデーション http://www.globaldiversity.org.uk/
メアリー・パイファー、「あらゆる場所の中心で-難民がアメリカ社会の仲間入りできるように」

16共通点も見いだす
私たちとあなた達共通の言葉 http://www.acommonword.com/
危機予防復興支援局 http://www.beta.undp.org/content/undp/en/home/ourwork/crisispreventionandrecovery/overview.html
サーマン、「共通点を見いだす」

17 複数の言語を身につける
ロゼッタストーン
マクウォーター、「バベルの力-言語の自然誌」

18 壁の向こう側を見る
グローバルシチズンネットワーク http://globalcitizens.org/
グローバルスタディーズassociation http://www.globalstudiesassociation.org/

19 神聖なるものを探求する
アブラハムの道 http://abrahampath.org/about.php
宗教連合イニシアティブ http://www.uri.org/
ノバーク、「世界の叡智-世界の宗教の聖典」

20 連帯する
クリントングローバルイニシアティブ http://clintonglobalinitiative.org/
グローバルシティズンセンター http://www.globalcitizencenter.org/
ワイザー・アース http://www.wiserearth.org/

前ページ
植田 一三、妻鳥 千鶴子著、英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニングを読む
次ページ
藤井 清孝著、グローバル・マインド 超一流の思考原理―日本人はなぜ正解のない問題に弱いのかを読む
 
  海外進出のページに戻る  

お問い合わせ下さい

シンメトリー・ジャパン問合せ窓口

記事には書ききれなかった様々なノウハウをご紹介することができます。ご要望・ご質問をお問い合わせページよりご連絡ください。