エンゲージメント・サーベイ導入の際にチェックしたい本、中原淳先生のご著書「サーベイ・フィードバック入門――「データと対話」で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】」を書評します。今回は、第7弾です。エンゲージメント・サーベイ後のアクションプランを紹介します。
エンゲージメント・サーベイ後のアクションプラン5つの原則
著者の中原淳先生は、アクションプランの重要性に関して、下記の通り指摘されています。
アクションプランとは、「他人ごと」ではなく「自分ごと」でなければなりません。アクションプランとは、「願望」ではなく「行為」です。アクションプランとは、「翌週月曜から実行できる目標をつくること」です。
その上で、留意すべきポイントを下記の5つにまとめています。
- 全員がかかわるアクションプランをつくる
- アーリーウィンをめざす。長期的なステップを決める
- 悪者探しをしない
- アクションプランはフォローこそ重要
- 最後はねぎらいで終える
エンゲージメント・サーベイ後のアクションでめざすアーリーウィン
この中から、2番目の「アーリーウィンをめざす」を見てみましょう。そもそもですが、アーリーウィンは英語でのearly win、つまり早期の勝利を指します。意味するところは、
モチベーションを保つには、早く成果が実感できるモノを最初に持ってくることです
となります。これはエンゲージメント・サーベイにかかわらず、企業変化の「王道」とでもいうべきものですが、早めの成果を見せることで、持続するためのモチベーションが生まれるのです。
ただ、逆に言うならば、これはエンゲージメント・サーベイのフォローアップの難しさを表しているとも言えます。なぜならば、アーリーウィンがなければ持続できない可能性が高く、アクションプランが「絵に描いた餅」になってしまうことを意味するからです。
エンゲージメント・サーベイにまつわる8つの病
結局のところ、エンゲージメント・サーベイの難しさは、サーベイ後のアクションプランの実施にかかっているのでしょう。これを含めて、著者の中原淳先生はエンゲージメント・サーベイにまつわる難しさを下記の8つの「病」としてまとめられています。
- サーベイすれば現実は変わる病
- 項目が多すぎて分からない病
- データがつながっていない病
- サーベイに正解を求めてしまう病
- サーベイ結果を放置してしまう病
- データをむやみにとりすぎ病
- サーベイは1回やればOK病
- 数字ばかり気にしすぎ病
この中から、7番目の「サーベイは1回やればOK病」を見てみましょう。
著者の中原淳先生は、エンゲージメント・サーベイを1回だけしかやらないのは意味がないと提唱されています。
1回しかやらないと、せっかく組織が良くなっても、すぐにリバウンドしてしまい、結果、意味がなくなってしまいます。最近、この例でとりわけ多いのは、「働き方改革のリバウンド」です。
したがって、定期的にエンゲージメント・サーベイを行い、もちろんそのフォローアップまで含めて、少なくとも年1回は行う必要があるでしょう。