チームビルディングの手法の一つ、組織開発の入門書をレビューします。読んだのは、中村和彦先生のご著書、「入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる」です。

組織変革の手法、組織開発

著者の中村和彦先生いわく、組織開発とは

組織の健全さ(health)、効果性(effectiveness)、自己革新力(self-renewing capabilities)を高めるために、組織を理解し、発展させ、変革していく、計画的で協働的な過程である

というもの(ウォリックの定義)。

その根底には4つの価値観があります。

  • 人間尊重の価値観
  • 民主的な価値観
  • クライアント(当事者)中心の価値観
  • 社会的・エコロジカル的システム志向性

意外と古い日本の組織開発の歴史

組織開発(OD: Organizational Development)は聞き慣れない言葉ですが、日本においての歴史は古く、1970年代には盛んに行われていたそうです。産業能率大学の前身である産業能率短期大学では、全国OD大会というのが開かれていたとか。

ところが、1970年代後半からは、QC (Quality Control: 品質向上のための小グループ活動)に、その主役が取って代わられます。その理由として著者の中村和彦先生は、

組織開発の実践に必要とされるOD実践者の専門性が後進に引き継がれていなかったことが挙げられます。

と述べています。同時に、当時の状況を考えると、高度成長期が終わって多くの企業が「この先」を模索していた状況でしょう。そのような中、「民主的な価値観」を前面に出す組織開発は、「それをやることによってメリットはあるの?」という経営者の疑問に答えられなかったというのがあるのでないかとも想像します。その後は、おおむね下記の流れをたどったとのこと。

  • 1980年代:「組織活性化」、「CI (Corporate Identity: コーポレートアイデンティティ)」、「組織風土の改革」という名の下に似たような取り組みがなされる
  • 1990年代:組織のソフト面よりもハードの側面の変革が指向される
  • 2000年代:コーチングやファシリテーション研修が導入される
  • 2005年:「組織開発ハンドブック」が刊行され、再び注目を浴びる

なお、「なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ」の著者でもあるスコラコンサルトやピープルフォーカス・コンサルティングが日本における代表的な組織開発コンサルティングを提供する会社として知られているとのこと。

組織開発の具体的手法

では、その具体的な方法を紹介します。個人レベル、グループレベルなど様々な階層に分けて、下記のような整理がされています。

  • 個人レベル
    • トレーニング
    • コーチング
    • メンタリング
    • フィードバック (360度フィードバック)
    • アセスメント
    • リーダーシップ開発
  • グループ/チームレベル
    • チーム・ビルディング
    • ファシリテーション
    • ファミリー・トレーニング
    • プロセス・コンサルテーション (グループプロセス・コンサルティング)
    • 職場ぐるみ訓練
    • データ・フィードバック
    • リトリート/オフサイトミーティング
    • 力の場の分析
  • グループ間レベル
    • グループ間活動
    • 対立解決セッション
    • 第三者による調停
    • サーベイ・フィードバック
  • 組織全体レベル
    • グリッドOD (マネジリアル・グリッド)
    • コンフロンテーション・ミーティング (対決会議)
    • サーベイ・フィードバック
    • 組織活性化運動
    • 組織文化の変革
    • ホールシステム・アプローチ (フューチャーサーチ他)
  • グループ/グループ間/組織全体レベル
    • AI (アプリシエイティブ・インクワイアリー)
    • OST (オープン・スペース・テクノロジー)
    • ワールドカフェ


画像はアマゾンさんからお借りしました