「ジョブ・クラフティング」という言葉に興味を持った人が手にとってしまうかもしれないのが高尾義明先生のご著書「「ジョブ・クラフティング」で始めよう 働きがい改革・自分発!」です。
その1ではジョブ・クラフティングとは何か、ジョブ・クラフティングによる働きがいアップはエンゲージメントUPにもつながることを解説しました。当記事では、具体的な取り組みの紹介です。
ジョブ・クラフティングは小さなことから始める
前記事で紹介したジョブ・クラフティング。では、どうやって個々の従業員が自身発のジョブ・クラフティングに取り組むか。著者の高尾先生は、実践的な手法として下記3つを提唱されています。
- 小さなことから始める
- 思いつかなければ人との関わり方を変える
- 自分のこだわりをいったん脇に置いてみる
この中から2番目の「人との関わり方を変える」を見てみましょう。具体的な行動として、
たとえば、顔は知っていて、その人の仕事ぶりや人柄はなんとなく知っているけれども、あまり深く話をしたことがない人に、一歩踏み込んで声をかけてみるのはどうでしょうか。
と提言されています。
これはこれでわかりますが、実際の職場でいきなり声をかけるというのは、若手の社員にはややハードルが高いように感じます。そこは会社側が何らかの支援をして、たとえば「社内マッチング」などを行ってもよいのかと思いました。
ジョブ・クラフティング・エクササイズ
ジョブ・クラフティングを実践するもう一つの方法が、市販されている「ジョブ・クラフティング・エクササイズ」を使うことです。google社内でも活用されているとのことですが、下記のダンドリで従業員がジョブ・クラフティングを行うことを支援できるとのことです。
- 業務の棚卸し:担当している個々の業務ごとに、費やしている時間やエネルギーを視覚化する
- 自己の棚卸し:自分の持ち味(強み・熱意・価値観)をリストアップする
- 仕事と自分とのマッチングの再編成:自分の持ち味との関連付けが高まるように、仕事が再編成されたイメージ図を作成する
- アクション・プランへの落とし込み:実際の仕事を上記で作成したイメージに近づけていくために、なすべき行動を具体化する
この手法、正直なところ「よくある」と感じてしまいました。とくに、自己の棚卸しのところは、なかなか新しい発見がないだろうというのが正直な感想です。そこでチェックしたいのが次項に紹介したツールです。これらを使うと、自己の棚卸がはかどりそうです。
ジョブ・クラフティングを高めるためのツール
本書の最終パートでは、世の中に出回っているジョブ・クラフティングを支援するためのツールが紹介されていて、とても実用的と感じました。
3人の尊敬する人物
3人の尊敬する人物の名前を書き、それぞれについて尊敬できる点を3つ描くというものです。もともとの発案者はリード・ホフマン氏とのことで、著書の「アライアンス」に詳しく説明されているそうです。
個人価値観カード
好奇心、挑戦、正義、などの価値観を表すキーワードを描いたカードが100枚あり、そこから自分に重要と思われるものをピックアップしていくという演習です。もともとの発案者はニューメキシコ大学のウィリアム・R・ミラー氏とのことですが、著者の高尾先生が日本語に翻訳したものを公開してくれています著者の高尾先生が日本語に翻訳したものを公開してくれています。
VIA-IS:Values in Action Inventory of Strength
ポジティブ心理学の第一人者、クリストファー・ピーターソン氏とマーティン・セリグマン氏が開発したもので、24個の強みを発見するというものです。ちなみに、この開発に当たっては「ストレングス・ファインダー」のギャロップ社も協力したとのことです。
赤い糸の発見
マーカス・バッキンガム氏とアシュリー・グッドール氏が提唱するもので、1週間の仕事を記録しておき、「大好きなこと」と「大嫌いなこと」に分類するというものです。
情熱を知るための質問リスト
ダーシャ・ユーリック氏の提唱するもので、
- 朝ベッドから飛び起きたくなるような一日はどんな日ですか?
- 決して飽きたりしないプロジェクトや活動はどんなものですか?
- 自分が何より楽しめないプロジェクトや活動はどんなものですか?
- 明日仕事をリタイアしたとして、自分の仕事の何がいちばん恋しくなると思いますか?
- あなたの趣味はなんですか?その趣味のどんなところが好きですか?
などの質問とのこと。
ただ、これは上記のバッキンガム氏による「赤い糸」でも感じましたが、内容がやや西洋的で、日本人にはそぐわないと感じてしまいました。「朝ベッドから飛び起きたくなる」と聞かれたとして、多くの日本人のビジネスパーソンは、「そういうのは思いつかない」と答えるのではないでしょうか。
むしろ、日本人にも会うような質問項目が、今後出てくることを期待したいと思います。
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