日本にとっての「未知なる大陸」とでも言うべきインド。そのインドを、カーストや宗教もふくめてフラットな視点から概観した良著が清好延先生のご著書、「インド人との付き合い方」です。
インド最大の輸出品は「経営者」
インド人のビジネスでの優秀さは世界に知られていて、「インド最大の輸出品は経営者である」というジョークまで言われるくらいです。実際、
- マイクロソフトのサティア・ナデラ氏
- google (アルファベット)のサンダー・ピチャイ氏
- アドビのシャンタヌ・ナラヤン氏
など、そうそうたるグローバル企業のCEOを、インドに起源を持つビジネスパーソンが占めています。 その理由は、民族的、教育的なものにあるのでしょうが、加えて幼少のころから命令することに慣れていることも影響しているのではないかと著者の清好延先生は説きます。
物心が付いたときから命令する側に立つ人間は、常に周囲に命令を発し、独自の判断をし続ける。(中略)外国の組織でも、その椅子に座ったときから周囲に命令を発する。新任のマネージャーがその日から組織の中で仕事を始められること自体、驚異的なことである。自分に対する傲慢ともいえるほどの自信、他人に命令することを何の遠慮もなく普通にできる経験がなせるワザなのであろう。
親しくなると距離感が近いインド人
一方、プライベートで日本人が驚くのは、距離感の近さだそうです。
インド人と仲良くなると、家族並みに扱ってくれる。その代わり、彼らも家族のように振る舞ってくる。
とのこと。ちなみに、「パーソナルスペース」という概念で、他人との間にどのくらいの物理的な距離があると居心地良く感じるかという考え方があります。欧米では、
- 密接距離:0cm~45cm
- 個体距離:45cm~120cm
- 社会距離:120cm~360cm
- 公衆距離:360cm以上
と言われていますが、日本人はもっと近い距離を好むとの研究結果があります。ところがインド人はこれよりさらに距離が近いので、物理的にも心理的にも近しい層です。これは、心地いいと感じるかどうかは人によるでしょう。
仕事での付き合いは立ち入らないインド人
では、そんなインド人と上手に仕事で付き合うためにはどうしたらよいか。ポイントは、仕事の分担や権限を明確にすることだそうです。逆に、日本式の「なあなあ」で、「言葉にしてまかせてはないけど察してよ」というのは通用しないのでしょう。
一方で、インド人がリーダーの場合は、部下にまかせた仕事の細かい部分まで知っておくそうです。日本人の場合、部下にまかせたらその人のやる気を引き出すためにも、やり方はまかせるというマネジメントスタイルが好まれます(それが適切か否かは別として)。ところがインドの場合、
その会社の社長が全ての細部まで知っている。考え方が違う人々がひとつの仕事をやり遂げるのであり、それを統括してやり遂げるのがプロジェクトリーダーであり社長である。
とのこと。インド人上司の下で働く場合には、心得ていた方が良さそうです。
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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