「チームワークにとって、唯一絶対のキモを挙げるとしたら?」。そう思ったときに手にとってしまうかもしれないのがジョン・R・カッツェンバック氏とダグラス・K・スミス氏による論文、「チームとグループは異なる」です。
チームが機能するためには目標が重要
カッツェンバック氏とスミス氏は、チームを下記のように定義します。
チームとは、共通の目的、達成すべき目標、そのためのアプローチを共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体である。
この中でも「達成すべき目標」が重要で、逆に、
チームが具体的な業績目標を設定できない場合、業績目標がチーム全体の目的と関連付けられていない場合、メンバーは混乱し、やがてチームは分裂し、最終的には業績も平凡な水準に落ち着く
ことになってしまうとか。
具体例で見てみましょう。目標のいい例としては、
- 新製品の市場投入までの期間を半分に短縮する
- 24時間以内に顧客に対応する
- ZD (欠陥ゼロ)を厳守し、コストを40%削減する
というものが挙げられています。逆に悪い目標の例としては、
- コミュニケーションの向上
- 組織改善
- エクセレントカンパニーに向けた改革
ということで、一つのカギはいかに数値化することにあるのでしょう。
チームが機能するための3つのスキル
上記の目標設定は必要十分条件で言うと「必要」の方で、それだけでチームがうまくいくとは限りません。さらなる要素として、カッツェンバック氏とスミス氏は、下記3つのスキルをチームメンバーが持つことが大事であるとも説いています。
- 技術上、職能上の専門スキル
- 問題解決と意志決定スキル
- コミュニケーションスキル
もっとも、これらは最初から持っている必要は必ずしもなくて、
我々が調査したところによれば、成功チームでは、メンバーが最初から必要なスキルをすべて身に付けていたということはなかった。(中略)我々はチームの問題解決能力を開発するには、チームビルディングが強力な手段であることを発見した。したがって、メンバーを選出する際には、既に身に付けているスキルのみならず、新しいスキルの開発と学習能力も等しく重視しなければならない。
とのこと。
もっと知りたいチームビルディングの「具体的には」
一方で、具体的には何をやったらいいのかのアドバイスがもう少し欲しかったという感じもします。たとえば冒頭の目標設定。適切な目標を設定し、しかも、これをチームメンバーに納得してもらうというのは相当に難易度が高いものです。
もちろん、本論文の中では2ページにわたって解説はあるのですが、それでも、「これ、実際にやるとなると難しいよなぁ」というのが正直なところ。
同様に、問題解決と意志決定スキル、コミュニケーションスキルというのもプロジェクトのような短期間でスキルアップするのは難しいと感じます。ここも、「どうやったらチームとしての意志決定力が上がるのか」があると、さらに読み手に有意義になると思います。
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