リーダーシップの研修が、今、世の中で求められています。変化が激しい時代ですから、そこに対応するために新しいことを引っ張るリーダーが求められているわけです。これに応えるのがリーダーシップ研修なのですが、単なるリーダーシップの紹介だけでは十分ではありません。むしろ、頭でわかった「理論」がちゃんと現場でできるようになっていただくことが必要です。
では、それをどうやって教えるか。
その答がロールプレイングという手法です。とはいえ、一口にロールプレイングと言っても、運営しだいで効果が変わります。この動画では、そのキモを詳しく紹介します。
なお、ケースのサンプルをこちらからダウンロードいただけます。お読みいただくとよりイメージがつかんでいただきやすくなります。
あえて「問題状況」を設定するのがロールプレイングのキモ
改めましてこんにちは。シンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。
では、ロールプレイングの説明に移りましょう。ロールプレイングというのは、上司役と部下役を決めていただきます。そして、それぞれに微妙に異なる情報を書いた文章を配布いたします。今、私の手元にありますけれども、赤い用紙にプリントアウトした上司役のケース、つまり文章と、青い紙に印刷してある部下役のケースです。
その上で、その中に描かれた役割、英語で言うとロールですね、これを演じる(プレイする)ことで体感的な理解が進んで、それこそ頭でわかったことが体でできるようになります。
ただその時にはコツがあって、この文章の中に「問題状況」を入れておくのです。例えばですが、上司役の文章では、「この部下はミスが多いので、仕事のやり方を細かく指示しなくては」と思っている状況。一方で部下の方は、「この上司は、人の話聞いてくれない。部下の私だって、せっかくアイデアがあるのに、なんでこの人は話聞いてくれないんだろう」、のような状況で会話をしていただくわけです。
そうすると、その問題状況を解決するために、上司役の方は工夫をする必要があります。これによって、研修で学んだ様々な理論を身につけていただくことができるのです。
オブザーバーによって学びが深まる
私たちが研修でロールプレイングを実施する際のさらなる工夫が、もう一つの役割です。それがオブザーバー。何かと言うと、オブザーバーはロールプレイングを行う人を観察しておいて、終わった後にフィードバック、つまりコメントする役割です。
イメージで考えてみましょう。ロールプレイングでは上司役の方と部下役の方がいて、横にはオブザーバーがいます。そして、会話を観察するんです。
上司「ここを変えてほしいんだけど」
部下「いやいや、でもこのやり方の方がいいんじゃないですか」
上司「いや、このやり方をやってください」
部下 (本当はこっちも提案があるのに…)と思っていても、黙りこんでしまう
さあ、ここからコメントタイム、つまりオブザーバーの方の出番です。横から、客観的に見てたので、先ほどの会話でかみ合っていないことがすごくわかります。そうすると上司の方にアドバイスとして、「上司役の方、まずは部下の考え、つまり意図、あるいは狙いを聞くところからスタートしてはどうでしょうか」というのを差し上げます。
そう言われると、上司の方はすごく役立ちます。
確かに、一方的に自分の言いたいことだけを言っちゃったのはまずかった。まずは部下の意見聞かなきゃ
という学びになります。
そして、このやり方のよいところは、オブザーバーの方にとっても学びになることです。上司役の方にアドバイスしつつ、「いや、そうは言っても、考えてみたら自分でも現場ではできてないよな。頑張らなければ」。このような形で、上司も部下もオブザーバーも、みんなで一緒に学んで、「できる」ようになるのがロールプレイングのメリットの1つです。
ロールプレイングのダンドリ
では、ここからロールプレイング全体の段取りも紹介しましょう。まずはそれぞれの役割の方に、先ほどの文章、ケースを渡していただいてお読みいただけます。ちなみに、オブザーバーの方はさっきの2つの文章ありましたけれども、上司のケースと部下のケースを両方とも事前に読みます。そうすることで、終わった後のフィードバックがやりやすくなります。
そしてその後は、シンキングタイムと言いますけれども、考えていただくわけです。特に上司の方に、この状況を解決するためには、どんな行動を取ったらいいでしょう。もちろん研修中ですから、それまで学んだ様々な理論の中で、こんなのを使ってやってみようっていうのを頭の中で計画していただきます。
そしてロールプレイング。このスライドには7分と書いてありますけれども、もうちょっと時間を取る場合もあります。10分ぐらい、あるいは12分ぐらい。そして、ロールプレイングをやっていただいたらば一旦終了。
その後にそれぞれのケースを入れ替えて、上司役は部下のケースを、部下は上司のケースを読みます。その後にオブザーバー中心でコメント、ということになります。時間の目安も書いてあってこのスライドはだいたい15分ぐらいで終わる流れになっています。ただ、実際の研修の現場では、もう少しかかるのが実情です。20分ぐらいあるいはもうちょっと30分くらいかかる場合もあるイメージです。
おまけ:ロールプレイングのケースをダウンロード
そして、せっかくの機会なのでこの動画をご覧いただいた方には、一組のロールプレイングのケースをダウンロードいただけます。ぜひ使ってみてください。
あるいは、私たちシンメトリー・ジャパンではロールプレイングを30本ほど用意しています。テーマを下記に記載しましたので、ご興味がある方は、右上の「問合せ」ボタンからご連絡下さい。
- 1 on 1で準備してこなかった部下に戦略を語る
- 仕事のやり方に納得いかない部下から意見を引き出す
- 上記後日談。うまくいったあとに振り返りをする
- 上司に進言したい部下から参加型リーダーシップで意見を引き出す
- 認識がズレる後輩にエンゲージメントUPで対処する
- 成長意欲が強い部下に行動アプローチで接する
- お客様に挨拶をしない後輩に行動アプローチで対処する
- 上記のチェックリスト。「受け止めていたか」などを確認するため
- 「ああ言えばこう言う」後輩に、考えを促す
- 仕事の進め方が分からなくて落ち込んでいる部下にタスクブレークダウンで対応する
- 後輩に指示出しシートで具体的・詳細に仕事のやり方を説明する
- 猪突猛進タイプの部下に視点の転換を促す
- 早退して子供の迎えに行く部下に代打人材を手配する
- ネガティブな反応をする部下への個人攻撃の罠を避ける
- やる気が無いように見える部下の動機づけの源泉を探る
- モチベーションが下がっている後輩に職務特性モデルで対処する
- 目標設定に消極的な部下に二段階目標設定させる
- 評価に納得いかない部下とまずは信頼関係を築く
- 評価面談で目標、評点をすりあわせる
- 年上の部下に具体的なFB、役割を与える
- 協調性がない部下に厳しいフィードバックをする
- 独断行動する後輩に同心円モデルを意識しながらフィードバックする
- ポジティブなフィードバックが苦手な後輩にソーシャル・スタイルを意識しながらフィードバックする
- ささいな行動を変えるためのファクトベースのフィードバックをする
- 上記の補助の部下1行日記
- 思いつきで行動する上司にボスマネジメントで影響力を発揮する
- 問題解決コーチングでレストランにお客を呼び込む方法を指導する
- 問題解決コーチングでネットショップの売り上げアップを指導する
- 問題解決コーチングでリゾートホテルの販売先を指導する
- 問題解決コーチングで駅に人が滞留する不満を解決する
- 問題解決コーチングで有期契約の人がやめるのを解決する
- 問題解決コーチングで組織の縦割りを解決する
- 中堅部下にシェアードリーダーシップを依頼する
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- ロールプレイング