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まず、大事なポイントとしては、全会議時間の1割、たとえば1時間の会議だったら5-6分でいいから、「まとめ」は必ずやりましょう、ということ。
英語で言うと、「ラップアップ (wrap up)」。「サランラップ」のラップですから、会議で話したことをお持ち帰りのために包みあげる、というイメージです。
と言って、単に議論をおさらいするだけではなくて、大事なのは決定事項を確認すること。
- なにを (Task)
- いつまでに (Timing)
- 誰が (Resources)
頭文字をとってTTRを確認するのが、ラップアップのポイントです。
会議の「まとめ」はなぜ必要?
「会議のまとめ」シリーズ、前回は「まとめ」をやりましょう、と言いましたが、そもそもなぜ「まとめ」は必要なのでしょう?
それは、会議で決まったことを、参加者一人ひとりが実行に移すように動機づけるためです。
もちろん、会議自体は、「会議の三役割」でも説明したとおり、
i) 意思決定
ii) アイデア出し
iii) 情報共有
で終了です。
でも、ビジネスという観点からほんとうに大事なのは、会議で意思決定されたことが、確実に実行されること。
とくに、異なる部門間が足並みをそろえて仕事をするときには、それぞれの人が確実に仕事をやることが重要です。
これがうまくいかないと、一部門の仕事が遅れたために、プロジェクト全体が遅れてしまう、と言うことが出てきますからね。
そして、もう一つ、TTR (Task, Timing and Resources)を確認する意味合いは?
答えは、次回。
ヒントは、「アジェンダの台本効果」です。
アジェンダが「台本」と言うことは、TTRは…?アレか?
会議の参加者はどこへ行く?
「会議のまとめ」シリーズ、ラップアップではTTR、つまり、
・なにを (Task)
・いつまでに (Timing)
・誰が (Resources)
やるのかを確認し、実行への動機付けとすることを見ました。
そして、TTR確認のもう一つの意味が今回のテーマ。
その前にまず、「アジェンダの台本効果」を見てみましょう。
ポイントは、ストーリー感。
では、問題。
会議という一つのストーリーを語り終わった登場人物(参加者)は、次はどこにいくでしょう?
答えは、次回。
いや、もちろん散会するんですけど、「台本効果」を考慮に入れるとどんな表現がピッタリでしょう?
デススターを破壊したルークはどこへ行った?
「会議のタイムマネジメント」シリーズ、会議が終わるとひとまずは、参加者は定常業務に戻っていきます。
台本効果という観点から考えると、一つのエピソードの舞台から去っていくのです。
そう、スターウォーズの主人公、ルーク・スカイウォーカーが、第1作でデススターを破壊するという大仕事を終えたら、静かに地方の惑星に帰るように。
でも、ストーリーはそこで終わりではありません。
復活したダースベイダーに対抗するために、ルークは再び帝国軍との闘いに身を投じるのです。
そのための「予告編」とでも言うのが、TTR。
だって、いきなり別のエピソードが始まっちゃったら、見てる方も戸惑いますよね。
なので、次回のエピソードは、こんな内容になりますよ、と参加者に予測させるための情報を、TTRの確認に盛り込むのです。
当然、次の会議の冒頭は、TTRの確認からスタートすることになりますね。
会議の議事録のフォーマット
「会議のまとめ」シリーズ、ラップアップのTTRの確認は、次回への予告編であることを見ました。
さあ、ここまでくると、会議の議事録の書き方も変わってきますよね。
・決定事項を実行する動機づけ
・次回への予告編
を主たる目的として、TTR、すなわち、
・なにを (Task)
・いつまでに (Timing)
・誰が (Resources)
を中心に記載するのが正解です。
もちろん、その際に、
・他にはどのような打ち手の選択肢があったのか
・どのような経緯で、そのタスクがベストと選択したのか
も記載してあると、より丁寧なのは言うまでもありません。
このようにクオリティの高い議事録を書いておくと、仮に会議の決定事項がうまくいかなかった場合でも、修正が効きやすいものです。
会議の議事録を送るタイミングは?
「会議のまとめ」シリーズ、前回は議事録の内容を説明しましたが、今回はその配布のタイミング。
議事録をメールで送るのは、いつがいいでしょうか?
答えはもちろん、
できるだけ早く
です。
だって、「予告編」だってそうでしょ?
テレビの連ドラだって、ある回が終わると直後に次回の予告編が流れます。
これがもし、2-3日たって予告編が流れたとしたら…
どっちらけで、次回を見ようとは思わないじゃないですか。
会議も同じで、終了後すぐ、遅くとも24時間以内には、議事録をメールなどで共有するのが妥当です。
議事録はアリバイ作り
「会議のまとめ」シリーズ、議事録は24時間以内に共有することを見ました。
これはもちろん、「予告編」として機能せしめ、会議で決定した事項を個々の参加者が行動に移す動機付けとするためです。
ただ、同時に、会議の「裏」の三目的を考えた場合、この議事録をできるだけ早く共有することは、もう一つの意味を持ちます。
i) 政治力の確認
ii) 交渉
iii) アリバイ作り
の「裏」の三役割のなかでも大事なのが、「アリバイ作り」。
悪く使えば、何か問題が起こったとき、ちゃんと対策をしてますよ、とアピールをするためにも、会議が終わったら素早くその事実を知らしめる必要があります。
ただ、もう少しマシな「アリバイ作り」もあります。
詳しくは、次回!
追い込みをカマすための動かない証拠
「会議のまとめ」シリーズ、議事録によるアリバイ作りの悪い例を見ましたが、逆に、良い意味での「アリバイ作り」もあります。
それは、会議の参加者に、会議で確約<コミット>したことを、あらためて意識付けすること。
ほら、いるじゃないですか。
会議の時には、「やる」と言ったクセに、後になって、「あれ~、そんなこと言ったっけ~」としらばっくれるヤツ。
こんないい加減な態度を許さないためにも、議事録で「あなたは会議の時、これをコミットしましたよね」と念を押すのです。
なので、議事録の中には、「もしも、事実の誤認があったらご一報ください」との一文を入れておくのをお忘れなく。
これがあれば、議事録という証拠が残るものをタテに、口先だけは調子がいいクセに、やるべきことをやってない人間にも追い込みをカマすことができるのです。