「職場で手軽にチームビルディングができないか…」。そんなときに手にとりたいのが堀 公俊、加藤 彰、加留部 貴行の諸先生による書籍、「チーム・ビルディング―人と人を「つなぐ」技法 (ファシリテーション・スキルズ)」です。

チームビルディングアクティビティ「キャッチ」

本書には大小取り混ぜて50近くのチームビルディングアクティビティが紹介されています。その代表例として、「キャッチ」と呼ばれるものを紹介します。これは、メンバーが輪を作ったうえで、

自分の左手の人差し指を下に向け、それを左隣の人の横に差し出します。差し出された人は差し出された指をいつでも掴めるよう、右手を上に開いて構えます。準備ができたら「キャッチ!」の合図とともに、左指は相手に捕まらないように上に逃げ、右手は隣の人の指をつかめるように閉じます。それを同時に行い、自分はうまく逃げて相手の指をうまくつかめたらオッケーです。進行役が時々、「キャッ」で止めてみたり、「キャット」などの紛らわしい言葉でフェイントかけると面白さが増します。また、右と左の役どころを交代したり、キャッチの合図をメンバーが自由にかけられるようにすると、さらに盛り上がっていきます。

というものです(写真入りの解説がありますので、詳しくは本書の91pを)。

これらのアクティビティを、人数別に(少人数~大人数)、そして所要時間まで書いてあるのが本書の便利なところだと思いました。

チームビルディングの4つの要素

一方で、本書はチームワークに関する理論上の説明もあります。それが29pに示されたチームビルディングの4つの要素で、

  • 活動の枠組み
  • 構成メンバー
  • 場(環境)
  • 関係性

からなるものです。

例えば、「場(環境)」においては、「空間設計」、つまり関谷テーブルの配置をどのようにするのがチームビルディングに効果的かが述べられており、より包括的にチームビルディングが理解できる内容になっています。

活動の枠組み

  • ミッション/ビジョン
  • プロセス
  • グランドルール

構成メンバー

  • コンビネーション
  • 役割分担
  • リーダーシップ

場(環境)

  • 空間設計
  • レイアウト
  • 場の演出

関係性

  • アイスブレイク
  • ウォームアップ・エクササイズ
  • 協働体験

チーム内の「困ったちゃん」への7つの対処法

さらに、チームでディスカッションをしたりするときに悩む、「困ったちゃん」への対処法が述べられているのが本書の特徴でしょう。具体的には下記の7つの方法論が示されています。

  1. ルール/役割で抑える
  2. 環境や活動で仕掛ける
  3. 自尊感情を満たす
  4. 根回しする (1対1で直接語る)
  5. 議論・意見を書く/描く
  6. 受け答えで対応する
  7. メンバーを味方につける

しかも、実際にチームビルディングの活動をする中で使えるセリフが載っているので、お役立ち感は高いと感じました。たとえば、独善的な仕切りたがる人へは、

素晴らしい仕切りですね。でも皆さんちょっとそのスピードについていけないようなので、よろしかったらペースを合わせていただけますか?」

などです。

独善タイプ

  • 発現を独占する人:今、10分間○○さんのご意見を頂きで大いに参考になりました。ここから全員の意見をお聞きしたいと思いますがいいですよね?
  • 自分が正しいと思い込んでいる人:さすが、○○さん。おそらくそれが正解だと思いますが一応皆さんの意見もお聞きしたいと思い、しばらく聞いておいてくださいね
  • 同じことを何度も言う人:(板書を差しながら)ああ、先ほどものあの重要なポイントですね。なんか付け足すことはありますか?
  • 論点からずれる人:すみません。今、この点についてお聞きしているのですが、そこに話が行きますよね?
  • 前置きの長い人:(話を遮って)○○の話ですよね?それで?
  • 攻撃的な口調の人:えらい剣幕で皆さん引いて(圧迫感を感じて)いらっしゃるようですが、何か意図があるのですか?
  • 空気が読めない人:今、皆さんがどういう感じで○○さんの話を聞いていたか、お分かりになりますか?

屈折タイプ

  • 批評ばかりする人:今の発言で言いたかったことは何なのでしょうか?どういう結論にすればよいとおっしゃっていたのか、よくわからなかったのですが
  • 皮肉な笑いを浮かべる人:納得いかないなぁという顔をされているように見えますが、何かご意見やお気に召さないことがあれば、遠慮なくおっしゃってください
  • 遅刻常習犯&早退常習犯:○○さんを待っていたのですが、こないので先に始めちゃいました。分からない点があったら聞いてくださいね
  • 自称専門家:さすが○○さん。よくご存知ですね。でも先にそれを言ってしまっては、皆さんが考える楽しみがないので、少し見ててもらえませんか。困ったらお助けをお願いしますので
  • 諦め顔の人:確かに難しいと思いますが、仮に何かできるとすれば、どういうことが考えられるでしょうか?

閉鎖タイプ

  • 意見を言わない人:仮に A と B のどちらかを選ばなければいけないとしたらどちらの方があなたの考えに近いですか?
  • 付和雷同の人:最後に意見をお聞きしますので、その時までゆっくり考えておいてくださいね
  • 曖昧な発言ばかりする人:今の話と今日のテーマ合わせると、おっしゃりたいの○○ということですね?
  • 人の意見に便乗する人:○○さんと同じ意見のようですが、もう一度ご自分の口で説明してもらえませんか?

職場のチームビルディングに使えるか?

一方で本書で紹介されるチームビルディングの理論は、「知らない人が集まってワイワイ話す場」を念頭においているような気もしてしまいます。逆にビジネスの場合、単に「ワイワイと話す」だけでは意味がなく、組織としての目的と目標を達成する必要があります。その際にはメンバー間の役割分担もあれば、しばしばメンバー同士の対立、それも悪い意味ではなく、建設的な対立があるのがビジネスにおけるチームのあるべき姿でしょう。

たとえば冒頭に紹介したアクティビティ、「キャッチ」も、それだけだと、「だから何?」と感じてしまう参加者もいるでしょう。そこに、実際の職場での行動に繋げる「ブリッジング」があると、本書の価値はより上がったのではないでしょうか。


画像はアマゾンさんからお借りしました

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