「チームビルディングの前に、そもそもがメンバーが対立していて困るんだけど…」。そんな悩みを持つ方が手にとってしまうかもしれないのがキャサリン・M・アイゼンハート教授、ジーン・L・カフハジ氏、L・J・ブルジョア3世教授による論文、「チーム内の対立防ぐための戦術と戦略」です。

対立すらないのはチームワーク?

まず大前提ですが、「対立」は一概に悪いものではないというのが本論文を通じ感じたことです。かつて、マザーテレサは言いました。「愛の反対は、無関心である」と。これにならうならば、組織の中での無関心こそが最悪であり、対立であってもコミュニケーションが発生する方がよいのではないでしょうか。

あるいは、対立の反対は社内が「政治化」することかもしれません。本論文でも著者は、うまくいっていない企業を描写するのに、

互いに協力し合うこと、話をすることはめったになく、派閥に分裂する傾向があり、フラストレーションや怒りがあらわになっていた。彼らが同僚について評価するとき、「影で操ろうとする」、「秘密主義」、「くたびれて役に立たない」、「政治的」といった否定的な表現を使った

といっています。

チーム内の対立をコントロールする6つの戦術

そうは言っても、対立「ばかり」でも困りもの。対立を上手にコントロールするのが上手な企業は下記の6つの戦術を用いているとのことです。

  1. 多くの情報を利用し、事実に基づいた議論を行っている
  2. 議論の水準を高めるため、多数の選択肢を策定している
  3. チーム全体の合意による目標を共有している
  4. 意思決定の意思決定プロセスにユーモアを取り入れている
  5. バランスの取れた権力構造を維持している
  6. コンセンサスを強要することなく、問題を解決している

とくに面白いのは5番目の「バランスの取れた権力構造を維持している」でしょうか。

中央集権的構造を通じて強力なコントロールを行う独裁的なリーダーが、激しい個人間の摩擦を頻繁に引き起こす要因となっていることが示唆された。逆に弱いリーダーの場合は最上層の権力にすきまがあるため、マネジャーたちがこの座を狙って画策し、やはり個人間の対立を引き起こしてしまう

つまりはどちらもよくないわけで、

CEOはチーム内のどのマネジャーよりも強い権力を持っているが、他のマネジャーも、各自の責任分野ではかなりの権力を行使している状態だ

というのがめざすべき姿だそうです。

ホンモノのチームを作る5つの手法

本論文の面白いところは、冒頭にも述べたとおり対立を一概に悪いものとはしていないところです。それを端的に表したのが下記の「建設的な対立を引き起こす5つの手法」です。もしも社内が無関心、あるいは政治化に支配されていると懸念している方は、「あえて」取り入れてもいいのではないでしょうか。

  1. 多様な年齢、性別、職業の経歴、業界での経験など異質な要素で構成されるマネジメントチームを組織する。取締役会のメンバー全員が同じような顔と声をしていれば、同じ考え方をする可能性は大である
  2. マネジメントチーム会議を定期的かつ頻繁に開催する。メンバーが互いのことをよく知らなければ、議題に付いて互いがどういう立場をとるのかもわからずに、効果的な議論ができなくなる。頻繁に関わり合うことで反対意見を述べるときに必要な相互信頼と親近感がチーム内に築かれる
  3. チームのメンバーに製品・地域・職業上の直接的な責任を超えた役割を担うことを奨励する。へそまがり、夢ばかり見ている非現実家、行動第一主義のマネジャーが一緒に取り組めば、あらゆる側面から問題の検討が可能になる
  4. どのような議題にも、画面的な考え方で対処する。ロールプレイング、競合企業の立場に立つ、戦争ゲームを行う。物事を新鮮に見せてくれると同時に問題解決への興味を刺激して、チームメンバーが無関心に落ちるのを防ぐ
  5. 対立には、積極的に対処する。マネジメントチームをあまり早急かつ簡単に服従させてはならない。無関心は早期に発見対処すべきであり、対立のなさと意見の一致とを混同してはならない。コンセンサスに至ったのに、全員が同意してなかったというケースはままある

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