NASAにもあったパワハラ問題

NASA (National Aeronautics and Space Administration:アメリカ航空宇宙局(アメリカこうくううちゅうきょく)と聞けば、最先端の組織のイメージがあります。しかし、そんなNASAですらパワハラがあったとこと。その舞台がハッブル宇宙望遠鏡です。15年の開発期間と17億ドルの予算をかけ、まさにNASAの、いや米国の威信をかけた一大プロジェクトです。しかし、打ち上げ当初はピンボケの画像しか見ることができない「欠陥商品」だったのです。

その原因が、外部業者が作成したパーツの不具合だったのですが、問題はその業者自身は実はその不具合に気づいていたとのことなのです。 ところが、NASAはその業者に対してパワハラ的な態度をとっていたため問題が起きてしまいました。その業者が、

余計なことを言えばNASAに怒られるだけだ

と考えてしまい、不具合をNASAに報告しなかったのです。パワハラによって大きな損失が出てしまった事例です。

根本は組織文化?

実は、NASAがパワハラ的な対応により事故を起こしてしまったのはこれが初めてではありません。1986年1月のスペースシャトルチャレンジャー号爆発事件がそれです。この際は、現場の技術者からは再三にわたって危険性が指摘されていました。ところが、それが上層部に届く前に途中で握りつぶされてしまったのです。米国ではチャレンジャー号爆発事件のあと、その真相を究明すべく第三者委員会による調査が行われました。その調査結果は、事故の根本原因を、NASAの組織文化や意志決定の過程におけるチェック&バランスの欠如と結論づけています。

組織をむしばむパワハラ

パワハラは、単にその被害者となった従業員にとっての問題だけでなく、組織にとっても大きなリスクをもたらします。ここでは、その中の一つとして、下からのリスク情報が上がってこなくなるという問題が、NASAの事例で見えました。

ちなみに、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの政治学者・認知心理学者・経営学者・情報科学者であるハーバート・サイモン先生は、このようなセリフでこの点を説明しています。

「そのニュースによって上司が『怒る』とわかるときは、そのニュースはおそらく押さえられる

組織をむしばむという点で、パワハラは撲滅したいものです。

なお、本稿は下記の書籍の情報に大きく依っています。ありがとうございます。

上司が萎縮しないパワハラ対策 ―パワハラ新法への上手な対応


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