労働組合の幹部になった方が、「これからどういう活動をしよう…?」と思ったときに手にとりたいのが高橋基樹先生のご著書、「これからの「労働組合」の話をしよう―生き残るための戦略」です。
セミナーを提供するのも労働組合の役割
高橋先生がおっしゃるには、労働組合の組織率が20%を割り込み、長期低落傾向にある中、
現場での社員間の信頼関係を築き上げ、「コミュニケーション不全」を解消する役割を担うことはできないか?将来の経営の中核を担うマネジメント力を身に付けた人材を輩出する「人材育成機関」としての役割を強化できないか?
との問題意識が本書を執筆した動機だそうです。
その活動の一環として、労働組合でセミナーを開催するケースも増えていますが、その参考になるでしょう。
労働組合で高められるコミュニケーションスキル
実際の事例を紹介しましょう。ある大手コンビニエンスストアの労働組合では、「ダイレクトコミュニケーション」という組合員とのディスカッションの場があるそうです。
1週間のうち4-5回、委員長を始めとした4名の本部専従が職場を巡回し、1回につき4-10名の現場組合員を集め、「働く現場の生の声」を収集し続けています。(中略)職場の訪問を終了した後、委員長は現場で出た意見をすべて書き出し、まとめ上げ、「資料集」として社長にも提出しました。
と言う取り組みです(37p)。
このような取り組みをする中、コミュニケーションスキルが重要なのは想像できます。企業側でも研修の一環として「コーチングセミナー」など採り入れていますが、これを
コーチングは一般的に「傾聴」、「質問」、「承認」という3つのスキルを活用するコミュニケーション手法
ととらえ、実は労働組合の活動をすることでコーチングのスキルが高められるという主張をされています。
とくに「傾聴力」は
労働組合におけるリーダーシップセミナー
同様の取り組みはリーダーシップにおいても有効だそうです。リーダーシップセミナーの中では、「リーダーズ・インテグレーション」と呼ばれる、
短時間でお互いの「未知」の部分を少なくすることで、コミュニケーションをとりやすい状態にするワーク
を実施されているとのこと。
これは、心理学のフレームワークである「ジョハリの窓」を理論的背景に、
- リーダーについて知っていること
- リーダーについて知りたいこと
- リーダーに知って欲しいこと
- 今年度の目標を達成するために、メンバー(職場委員)にできること
などを、90分ほどかけて討議するセミナーです。
画像はアマゾンさんからお借りしました。