ソフトウェアの開発プロジェクトで、チームのパフォーマンスを高めたいと言うときに手にとってしまうかもしれないのが斉藤秀樹先生のご著書「IT現場を強くする 究極のチームビルディング」です。
チームワークがうまくいかない3つの原因
著者の斉藤秀樹先生の分析によると、IT分野でチームワークがうまくいかない原因は、下記にあるそうです。
- 他責:現実を作り出している起点は自分であることを省みず、他者に問題があると決めつけている。犯人捜しに終始し、本来の業務に通癒やすべき労力が削られている
- 安全な場がない:信頼関係がなく、本音を言える場や関係がなく、ほんとうの課題が見えない。そのため本質的な課題解決ができず、同じようなトラブルばかりを繰り返している
- 対処療法の恒常化:現象だけを見て小手先の「やりかた」によって解決しようとしている。やみくもに管理やマニュアル化を進めて間接業務が肥大化、無駄に報告回数を増やして生産性を下げている。
こう並べてみると、ITだけでなく、多くの組織において似たような状況ではないかという気がしてきます。
チームビルディングのハートビーイング
そして、これらは、すべて「Be」に関するものだというのが本書の結論です。日本語で言うと「あり方」としていますが、「このチームは何のために存在しているのか」、「私にとってこのチームに参加する必然性はなにか」などでしょう。これらが整わない中、管理方法や手順を決めたとしても、チームがチームとして機能するわけではないのは理解できます。
そして、このBeを整える取り組みとして著者の斉藤秀樹先生が提唱しているのが、「ハートビーイング」という取り組みです。これは、
チームにとっての「好ましい表現(ポジティブ)」と「好ましくない表現(ネガティブ)」を具体化した上で、全員が「好ましい表現」を心がける取り組みです。これが定着すればチームの雰囲気は一変します。手順としてはまず、ここのメンバー(リーダーを含む)に「ポジティブ」と「ネガティブ」をできる限りたくさん書きだしてもらいます。(中略)次に大きな模造紙などを用意し、そこに大きなハートマークをできれば太い赤マジックで書きます。それができたらみんなが書きだした表現を転記します。転記はハートの中に「ポジティブ」、ハートの外に「ネガティブ」を書きます。
と言う方法論です(詳しくは本書64p)。
チームビルディングの8ステップ
さらに、著者の斉藤秀樹先生は、チームビルディングの全体像として下記の8ステップを提唱されています。
- チーム意識
- 安全な場
- 信頼関係
- 自身と本気
- 貢献意欲
- 当事者意識
- リーダーシップ
- ビジョン/ミッション
この中でも最初の4つが上述のBeに関わるものであり、たとえば「チーム意識」とは、
個人主義が強く横の連携がない状況から、チーム意識が強く全員が協力して業務が行われている状況に転換します。
というものです。
画像はアマゾンさんからお借りしました
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