スティーブ・ジョブズ氏や孫正義さん…

ビジネスパーソンなら、そんな時代を代表する偉大な経営者に憧れるのは当然の心理ですが、実際のところ、経営者の能力や資質はビジネスの成功にどの程度影響があるのでしょうか?

そんな疑問を持ったらぜひチェックしていただきたいのがこちら。

ダンカン・ワッツ著、偶然の科学

ダンカン・ワッツ著、偶然の科学

評価は★★★★★。

ちなみに、一見すると類書にレナード・ムロディナウ著、たまたま―日常に潜む「偶然」を科学するがありますが、本書に比べると月とスッポンです。こちらは冗長でむしろ読むに耐えない、と言うのが正直なところ。

結論としては、たとえどんなに優秀な人であったとしても、偶然をつかむことがなければ大きな成功はおぼつかない、となります。

というか、本当に優秀な人はたぶんこれを知っていて、偶然をつかむための行動をしているんでしょうね。

以下、ポイントを。

●社会的信号の有効度が強められ…曲の順位を決めるうえで、ランダムな変動が質のいかなる差よりも大きな役割を果たしてい

●ミルグラムは…ソシオメトリック・スターと呼ぶものが重要なのではないかと推測した…しかし、ミルグラムの発見と異なり、伝達仮定での「ハブ」はなんら見いだせなかった。…少数者の法則も結局のところ、事実と言うより見方の問題である。

●影響が何らかの感染過程によって広まるとき、結果はそれを引きおこした個人の特性よりもネットワーク全体の構造にずっと大きく左右されるからだ。

●いちばんよくできた物語を語った者が勝つ
 心理学者は様々な実験をおこない、単純な説明の方が複雑な説明よりも正しいと判断されることを明らかにしている

●戦略のパラドックス
 皮肉な話だが、戦略計画の最優良事例を体現しているように見える組織、たとえば、非常に明確な展望を持ち、果断な行動をとる組織が最も計画の誤りを犯しやすい組織になる場合もある

●戦略的柔軟性
 戦略のパラドックスを解決するためには、予測に限界があることを率直に認め、この限界を念頭においた計画法を開発しなければならない…シナリオ・プランニング…しかしながら、この手順は時間がかかる…それどころか、シナリオプランニングのせいでなおさら苦況におかれたと言っても良い。

●ZARAの製造と流通の作業は柔軟性に富んでおり、店から直接上がってきた情報に迅速に対応できるので、売れないアイテムからは手を引き、売れるアイテムの製造を拡大する。

●マレット戦略(ハフィントンポスト)

●計画と常識
 計画者はどんな問題であれ、現場の人間がおそらくその解決策の一部をすでに有して、それを共有する気があることを認識しなければならない。第二に、あらゆる問題の解決策を自力で探す必要はないことを認識したら、分野にとらわれず既存の解決策を探すことに資源を割り当て、その解決策をもっと広く実行することである。

●われわれの大部分にとって、偶然と累積的優位の組み合わせが意味するのは、わりあい平凡な個人が大きく成功する時も大きく失敗する時もあり…だがどの個人の物語も独自なものなので、自分の目にした結果はその個人の独自の特質が何らかの形でもたらしたものだと、我々はいつだって自分を納得させることができる。

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