「ウチの会社、今ひとつ活気がないんだよなぁ」
リーダーならば、問題に思うときがあるでしょう。といって、「活気」って見えないだけにどう手を打ったらよいか分からなくて、
「プレジデント・ランチ」でカツを入れたり
「プレジデント・アワード」でにんじんをぶら下げたり
はては社員旅行なんてやっては見るものの、
まったく効果がでないぃー、というのが関の山。
でも、ちょっと待って。もしも、活気がでない原因が、オフィスのレイアウトだとしたら…!?
という観点で分析を行ったのがこちら。
紺野 登著、儲かるオフィス 社員が幸せに働ける「場」の創り方
評価は
★★★★☆ (購入して読む価値あり)(評価の基準はこちら)
最初は懐疑心をもって読んでいたのですが、「なるほど、そうだよなぁ」とオフィスのレイアウト(というか、それを超えた『場』としてのオフィスの重要性)に納得です。フレームワークとして野中先生のSECIモデルが上手に使われています。
残念だったのは2点。まずは、ITとの関連が触れられていなかったこと。円滑な情報の共有、異なる視点のぶつかり合いによる創発を解くのであれば、インターネット(イントラ)上でどのように実装するかの議論がちょっとでもあると奥行きがでたはず。
そして、事例が大企業に偏っているのが残念だったことのもう一つ。まあ、やむを得ないと言えばその通りなのですが、中小企業の方が情報の共有には苦労しているような気もします(そうでもないかな)。
あと、全体に情報共有とフラット化組織が極めて肯定的に-ともすれば、楽園的に-捉えられていて、その対極にあるツリー型組織(軍隊型組織)が過去のもののように記述されていますが、これはちょっと違いますね。
現代においても軍隊型組織が存在するのは、決してイナーシャのせいではなく、それなりに使い勝手の良さがあるからです。現実に、この本ではオフィスレイアウトの先端事例として紹介されている日立グループが業績悪化に苦しんでいるわけですし。
この点も頭に入れて良い意味で批判的に読み進めたいものです。
下記、ポイントを。
●儲かるオフィスの特徴
-「有機的な」空間の構成 組織図にとらわれない人間的ネットワークを重視する
-切れ目のないレイアウト 身体的・感情的なつながりを重視
-環境への配慮 自然を巧みに採り入れる
●米国の大工道具メーカー、ブラック・アンド・デッカー社のエピソード
本当に売っているのは、「ユーザーがあける『穴』です」
●儲かるオフィス 7つの条件
1 トップが積極的に関与する
2 本社を「事業創造のための場」と位置づける
3 階段とエスカレーターをコミュニケーションツールにする
4 集う場、発信する場を会えて作る
5 インサイド・アウトによるデザイン・アプローチをとる
6 環境への配慮は前提とする
7 本社は社会・都市機能を担う
●場を構成する3つの軸 → 切れ味悪い
戦略性
協業・創発効果
情感性
一環効果
身体性
効率・改善効果