「初めて部下を持ったけれど、どう指導したら…!?」。そんな悩みを持つ方が手にとりたいのが望月禎彦先生のご著書「1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術 部下ノート」です。

部下ノートとは部下の行動・部下への指導の記録

まず、部下ノートとはなんぞやから。部下に対する指導や部下の行動に気づきがあったとき、簡単なメモを残すというものです。そして、1週間後にその指導によって行動が変わったか、そして3週間後に成果につながったかを記録するというものです。

具体例で見てみましょう。イニシャルOSさんに対してこんなノートを残しました。

「電話のメモを残さない」「昨晩自分のフォーマットを渡し、徹底」。1週間後の行動変容は○。3週間後の成果は×

(詳細は本書35pを)

このようなノートを残すことのメリットは下記であると著者の望月禎彦先生は提唱しています。

  • 部下にかける時間が短くなり、自由な時間が増える
  • ミスが減り、無駄なコストが削減される
  • 部下が育ち、業績が大幅にアップする
  • 社内の雰囲気が良くなり、部下が辞めなくなる
  • 部下から信頼されるようになり、チームが1つに!
  • 「できない部下」に感じていたストレスから解放される
  • リモートワークでも、部下の仕事の効率が変わらない
  • 外国人のマネジメントがうまくできるようになる
  • 会社からの評価が上がり、給料もアップする

部下ノートを書く際の6つの鉄則

ただ、「毎日のように書くの?たいへんなんだけど?」と思う方も多いでしょう。でも、そんなことはありません。毎日書く必要もなければ、部下全員のものを書く必要もないとのこと。これをまとめたのが部下ノートを書く際の6つの鉄則です。

  1. 1,2行で十分。書きすぎないこと
  2. 部下全員のことを書かなくてもいい
  3. 毎日書く必要なし
  4. 文章に凝らない
  5. 自分が読めればいい
  6. 会議や行事だけの記入はNG

この中から、5番目の自分が読めればいい、を深掘りしてみましょう。著者の望月禎彦先生は、こう提唱しています。

誰も見ないから、最初は部下の悪口を書き連ねてもいいのです。(中略)1週間書き続けることができると、自分自身が少し変わったことに気づきます。ノートを書くために、部下のことを、今まで以上によく見るようになるからです。

要するに、はじめることが肝心と言うことでしょう。

個別の対応が部下の育成につながる

結局のところ、部下ノートが役立つのは、観察力が高まり、その部下の特性が分かるということなのでしょう。指導にあたっては、その部下の特性を踏まえたうえで、言葉の使い方も、声がけのタイミングも異なってくるべきです。

ところが、実際のビジネスの現場では、管理職はそこまで部下を見ている余裕がありません。とくに最近のように管理職の「プレイングマネージャー化」が進んだとなるとなおさらです。これを修正してくれるのが部下ノートと理解しました。

さて、一方で本書にはリスクがある提言もされています。それが、147pに記載された、「社内口コミ法で部下のやる気をグッと上げる」というものです。ここでは著者の望月禎彦先生は、部下への褒め言葉を人づてに伝えることによってその部下のやる気をアップすることを提唱しています。しかし、これは危険があります。というのは、仮にポジティブなものであっても、自身に関する評価を聞いた部下はこう思います。

この組織では、そういう人の噂話が飛び交うんだ。ということは、自分に対する批判も裏でかわされているんだろうな。

と。このような考えは疑心暗鬼につながり、組織へのエンゲージメントを低めてしまうと言うリスクがあり、ここは注意して読むべきと感じました。


画像はアマゾンさんからお借りしました。

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