こんにちは。シンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。
「職場がギスギスしているせいで、仕事の成果が上がらない…」。そんな問題意識が高まっています。情報共有がないのでミスが出る…、新しいことに取り組むときも、「私の仕事ではありません」と誰もやりたがらない…。加えてリモートワークは職場の一体感に大きなダメージを与えました。
これを解決するのが「組織開発」です。
…とはいえ、組織開発の手法はいろいろあって、「うちの組織にはどの手法が合うんだろう?」と迷うこともあるでしょう。そこで、簡単な「はい」、「いいえ」に答えるだけで、御社にぴったりの手法が分かる「組織開発マッチングシート」を作成しました。御社の問題意識とマッチしたら、下記フォームよりダウンロード下さい。
シンメトリー・ジャパン代表
組織開発コンサルティングとは
組織開発とは、組織の状態を良くしてビジネスで成果を出す活動です。…と聞いても、ピンとこないかもしれませんが、個人の「能力開発」に加えて「組織開発」、ITの「システム開発」だけでなく「組織開発」も必要ととらえると、イメージが湧きやすいでしょう。要するに、組織も「あるがまま」の状態ではなく、しっかりと管理して良い方向に導いていこうという考え方です。
これをお手伝いするのが私たちの組織開発コンサルティングのです。というのは、組織の状態は社内の人だけではなかなか把握できないから。私たちのような第三者的な観点で、しかも世の中の様々な例を紹介しながら、組織を最高の状態にするお手伝いをします。
ただ、「コンサルティング」と言っても、アドバイスだけではありません。というのは、組織開発は従業員の心にはたらきかける必要があり、実際に「何を、どうやるか」が重要になってくるからです。
実際、私たちも従業員同士の話し合いの場に参加したり、エンゲージメント・サーベイをフィードバックする際の司会進行役になったり「参画」させていただきます。その意味では、世間一般が持つ「コンサルティング」とはちょっと違うイメージかもしれません。むしろ、経営者や人事部門と一緒になるパートナーと捉えていただくと、より正確なイメージでしょう。
組織開発コンサルティングの流れ
- まずはご連絡下さい
- まずはお問い合せフォームからご連絡下さい。問い合わせ内容は必ずしも確定したものでなくてもけっこうです。「なんとなく、こんな問題がある」だけでも大丈夫です。もしくは、電話によるお問い合せも受け付けています。ページ右上に電話番号を記載しています。
- 電話ヒヤリング
- 電話、もしくはZoomによるヒヤリングで、私たちの組織開発コンサルティングがお役立ていただけるか確認させていただきます。労働条件など法律に関連するご相談は私たちの専門領域ではありませんので、提携の社会保険労務士を紹介させていただく場合があります。
- 提案書提出
- ヒヤリングに基づいて、組織開発コンサルティングの提案書を提出させていただきます。様々な組織開発手法の中からご相談にもっともマッチするものを紹介するとともに、期間、訪問頻度、費用なども提示いたします。
- 役員プレゼンテーション
- 組織開発コンサルティングは経営に深く関わるものであるため、時にはお客様の企業の経営陣にプレゼンテーションを行い、 ゴーサインをもらう必要があります。社内のご担当者の方が行う場合もあれば、私どもにプレゼンテーションを依頼される場合もあります。
- 組織診断サーベイ
- 場合によっては現状把握のため、組織診断サーベイを行っていただく場合があります。アンケート形式で社員の方にお答えいただくことで、人事担当者や経営者の方が持っていた仮説が正しかったかを検証します。時には、思っても見なかったニーズを従業員が持っているのを発見することもあるのでお勧めのプロセスです
- 組織開発コンサルティングの提供
- 実際に組織開発コンサルティングを提供します。「コンサルティング」と言ってもアドバイスだけでなく、従業員の方を巻き込んだイベントの進行や上述の組織診断サーベイのフィードバックミーティングの司会など、本格的にかかわる「ハンズオン型」が私たちの組織開発のコンサルティングの特徴です。
- 効果検証
- 私たちの組織開発コンサルティングがどのくらい効果を上げたかを確認します。上述の組織診断サーベイを使う場合もあれば、キーメンバーへのヒヤリングを行う場合もあります。
- 継続のための仕組み作り
- 組織開発は、「一回のイベントをやって終わり」 というものではありません。継続的に状態をウォッチする必要がありますし、上司と部下のコミュニケーションを密にするための仕掛けを設計する必要があります。1 on 1ミーティングの設計や研修など、組織開発が「根付く」ための仕組みを提案します。
組織開発コンサルティングの具体的手法
組織開発コンサルティングの具体的な方法を紹介します。個人レベル、グループレベルなど様々な階層に分けて、下記のような整理がされています。
個人レベルの組織開発コンサルティングの手法
- トレーニング :個人ごと、とくにキーとなる役員クラスの人材に、組織開発に必要な方法論をトレーニングによって身に付けていただく
- コーチング :エグゼクティブ・コーチングによって、組織開発に必要な方法論を考え、納得いただく
- メンタリング :開発に必要な方法論が根付くように、社内のしかるべき人にメンター(指導役)になってもらい、定期的に面談を行う。なお、最近は「リバース・メンタリング」、つまり若手が役員層のメンター役になることも取り入れられている
- フィードバック (360度フィードバック) :自身の上司からのフィードバックだけでなく、横(同僚)、下(部下、後輩)からもフィードバックをもらう。これによって、自分でも気づいていなかったよい点・悪い点を発見し、個人発の組織開発につなげる
- アセスメント :組織診断アセスメントツールによって、個人の行動のよい点・悪い点を明らかにする
- リーダーシップ研修 :リーダーとしての効果的な行動を身に付けることで、組織開発につながる
- 戦略説明力UP研修:課長クラスの人材の戦略説明力が上がると、従業員のエンゲージメントが高まることが検証されている
- ファシリテーション研修:上司のファシリテーション力が高まり、部下から意見を引き出したり、部下の納得度を高める
エンゲージメントUP研修:エンゲージメントを高める8要素を踏まえ、具体的なエンゲージメント向上の施策を身に付ける
グループ/チームレベルの組織開発コンサルティングの手法
- チーム・ビルディング :ゲームを使ったチームワークを高める取り組みを行う
- ファミリー・トレーニング:職場ごとの研修。階層別ではなく、その職場まるごと研修に参加することで、学びを深め一体感を醸成する
- プロセス・コンサルテーション (グループプロセス・コンサルティング) :職場での話し合いに第三者のコンサルタントが介入することで、本音を引き出したり行動につなげるようにする
- データ・フィードバック :エンゲージメント・サーベイの結果を従業員に知らしめることによって、現状把握と改善のためのアクションにつなげる
- リトリート/オフサイトミーティング :ふだんの職場から離れた場所で話し合うことで、客観的に状況を確認したり新しいアイデアを思いつく
- リッツ・カールトンホテルのラインナップ:高級ホテルチェーン、リッツ・カールトンホテルで実践されている、価値観を浸透される手法。毎朝、価値観に即した行動を話し合う
- GEのワークアウト:米ゼネラル・エレクトリックで実践されている、ミーティングによって組織の課題を話し合うセッション。役員クラスの人材が同席し、そこで話し合われた解決策にゴーサインを出すのか否かの結論が求められる。
グループ間レベルの組織開発コンサルティングの手法
- グループ間活動:ふだんは接触のない、もしくは逆に対立関係にある部署間で交流を行う
- 対立解決セッション:対立関係にある関係者が話し合い、その解決をめざす。第三者による仲裁(拘束力がない)や、調停(拘束力がある)を取り入れる場合もある
組織全体レベルの組織開発コンサルティングの手法
- グリッドOD (マネジリアル・グリッド) :もともとはオハイオ州立大学の研究結果から生まれたリーダー行動に必要な2軸、配慮行動と構造作り行動を表形式(グリッド)で整理したのがマネジリアル・グリッド。米国の研究者、ブレークとムートンによって1964年に提唱された
- 組織活性化運動 :昔懐かしい社内運動会の復活や、イベントなどにより組織を活性化する
- ホールシステム・アプローチ (フューチャーサーチ他) :「将来どうありたいか」を話し合う。過去の問題を話し合うと、ともすれば「犯人捜し」になりがちなので、それを避ける未来思考のアプローチ
グループ/グループ間/組織全体レベルの組織開発コンサルティングの手法
- AI (アプリシエイティブ・インクワイアリー):問いかけによって強みや潜在力を引き出す
- OST (オープン・スペース・テクノロジー) :様々な問題を話し合い、その議事録を皆で共有し、次につながるアクションを考えるためのイベント
- ワールドカフェ:参加者全員がフラットな(公平な)たちばでテーマごとの小グループを作って話し合う。グループを移動しながら、様々な人と交流を持つ
意外と古い日本の組織開発コンサルティングの歴史
組織開発(OD: Organizational Development)は聞き慣れない言葉ですが、日本においての歴史は古く、1970年代には盛んに行われていたそうです。産業能率大学の前身である産業能率短期大学では、全国OD大会というのが開かれていたとか。
ところが、1970年代後半からは、QC (Quality Control: 品質向上のための小グループ活動)に、その主役が取って代わられます。その理由として、本稿を執筆するに当たってもご著書を参考にさせていただいた南山大学教授の中村和彦先生は、
組織開発の実践に必要とされるOD実践者の専門性が後進に引き継がれていなかったことが挙げられます。
と述べています。同時に、当時の状況を考えると、高度成長期が終わって多くの企業が「この先」を模索していた状況でしょう。そのような中、「民主的な価値観」を前面に出す組織開発は、「それをやることによってメリットはあるの?」という経営者の疑問に答えられなかったというのがあるのでないかとも想像します。その後は、おおむね下記の流れをたどったとのこと。
- 1980年代:「組織活性化」、「CI (Corporate Identity: コーポレートアイデンティティ)」、「組織風土の改革」という名の下に似たような取り組みがなされる
- 1990年代:組織のソフト面よりもハードの側面の変革が指向される
- 2000年代:コーチングやファシリテーション研修が導入される
- 2005年:「組織開発ハンドブック」が刊行され、再び注目を浴びる
米国における組織開発コンサルティング
米軍に源流を持つ組織開発コンサルティング
米国における組織開発は古く、太平洋戦争時の軍隊まで遡るとも考えられます。当時、日本においては陸軍と海軍の対立が激しく、両者の統合的な運用が難しかったのは「失敗の本質」でも述べられています。米軍においてはこの弊を取り除くため、統合三郷本部を本格的に機能させ、軍のトップたる大統領が最終決断を持つという構造を持ちました。これは、組織開発コンサルティングの結果生まれたとも考えられます。
ビジネスにおける組織開発コンサルティングも第二次世界大戦直後に遡ります。そして、そこには「社会心理学の父」とも呼ばれるクルト・レヴィン(Kurt Lewin)が大きくかかわります。従軍経験もあるレヴィンは、軍隊における組織開発の重要性を目にしたと想像しますが、民間企業においても「Tグループ」と呼ぶ人間関係のトレーニング方式を提唱します。
Tグループは、10人未満の少人数で行われるオフサイトミーティングと言ってもよいでしょう。そのグループの中で起こっていることを省察し、より効果的な組織運営を考えようというものです。そして、この流れはのちにエドガー・シャインによる「プロセス・コンサルテーション」に引き継がれます。
サーベイによる組織開発コンサルティング
組織開発コンサルティングのもうひとつの流れが、アンケート形式のサーベイによって現状を把握し、それをメンバーに知らしめることによって問題の解決を図ろうというものです。これも古く1940年代まで遡りますが、ミシガン大学の研究者、レンシス・リッカートがある会社に対してサーベイ調査を行い、その結果に基づいて上司と部下で話し合ってもらうと言う取り組みを始めました。これが組織に良い影響をもたらすと検証され、その後広がっていったものです。
この流れを体系的にまとめたものが、米国のNTLインスティテュートの「組織開発マップ(ODマップ)」です。
フェーズ | 内容 |
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エントリーと契約 | クライアントのニーズを把握し、進め方やお互いの役割を合意する |
データ収集 | インタビュー、アセスメント、観察などで、プロセスに関するデータを収集する |
データ分析 | データを整理して、そこから読み取れる組織の課題を抽出する |
フィードバック | データをクライアントにフィードバックし、対話を通してプロセスについての気づきを促進する |
アクション計画 | 焦点づけられ、共有されたプロセスを変革するためのアクションを計画する |
アクション実施 | 計画されたアクションを実行する |
評価 | 合意された変革目的がどれくらい達成できたかを評価する |
集結 | 変革目的が達成された場合は集結する |