経営学の世界ではこんなことを言う方がいます。リーダーとマネージャー違いますよね…でも、実際のところは、こういう考え方は誤解です。なぜかと言うと、アメリカの特殊事情において生まれた考え方だからです。ということは、今の日本においては当てはまらないどころか、リーダーとマネージャーは違うという考え方はかえって害になると思います。ですので、今回の動画ではリーダーシップとマネジメントは両方とも身に付けるべきというテーマで紹介したいと思います。リーダーとして活躍したい方は最後までご覧ください。

マネジメントは不要?リーダーシップ研修のみの落とし穴

リーダーとマネージャーは違いますよね?アメリカの高名な経営学者でジョンコッター先生が、1980年代半ばに提唱されました。リーダーシップとマネジメントは違うよね…という話です。

リーダーシップは、ビジョンで方向を設定に対して、マネジメントは計画立案と予算設定。リーダーシップは動機づけと意欲高揚。マネジメントは責任と権限の割り振り。リーダーシップは障害を乗り越えるべく人材を勇気づけていく。マネジメントは、コントロールと問題解決ですよね。最後に、リーダーシップは大規模な変革をもたらすに対してマネジメントは確実性と秩序です。これを比較するとリーダーシップは最高!逆にマネジメントなんて今さら何??と感じます。野球で例えると管理野球が嫌がられるニュアンスかもしれませんね。

ところが、実はリーダーが求められる背景には1980年代日本企業は絶好調でアメリカは絶不調な時期がありました。日本企業が世界中に乗り出していた時期です。そんな中、危機感を抱いたアメリカが官民(政府・民間企業)挙げて変革に取り組んでいこうよという流れの中にリーダーシップに注目が集まりました。

先ほどのスライド覚えてますか?リーダーシップは「大規模な変革」を導く。に対して、マネジメントは「確実性と秩序」ですからね。変革を求めるためにリーダーシップに対する要望が集まったということになります。でも、今の日本はちょっと違います。どころか、マネジメントはやっぱり大事です。そうすると、実はリーダーシップのみには落とし穴があります。例えばですが、実際にアメリカでこんなことが起こりました。CEO、つまりリーダーに権限を集中させてしまうことへのリスクがあったんです。先ほどのリーダーシップも含めて官民挙げてがんばったアメリカはその後、経済が回復しました。特に2000年代以降に復活したんですが、CEOによる不祥事が多々ありました。いい教育を受けた優秀な会社のトップばかりですよ。そんな人が、つまらない悪事に手を染めて自分の儲けをなんとか狙っていこうということがたくさん起こったんです。ちょっと、リーダーシップのみの落とし穴かなぁと思います。

あるいは、「マネジメント後回し」ですよね。アメリカ人、イギリス人の中に時々、私は持って生まれたリーダーシップなんでマネジメントは苦手なんです。と真顔で言う人がいますのでちょっとびっくりです。マネジメント、仕事の割り振り、モニタリングだって正直大事だよねと思っちゃいますけどね。なので、私がお勧めしたいのが、こちらなんです(動画スライド参照)。リーダーシップの新公式と書いてありますけれども、これからの時代リーダーを目指す人は、公式掛け算です。

リーダーに求められる新公式とは

リーダーシップ=ビジョンシップ×マネジメントシップ。新しい言葉で造語だと思いますけど、イメージとしては分かります。提唱したのは日本人の野口さんという方になります。

要するに、リーダーシップは2つの軸からなります。縦軸はビジョンシップ。つまりビジョンを打ち立てる。あるいは人々を動機付けるのが大事。でも、それだけではなくて横軸。マネジメントだって大事です。つまり、こんな風にタイプ分けをしたんです。(動画スライド表を参照)まずは、夢創造型リーダー。ビジョンシップがとてつもなく強い。一方マネジメントはあまり強くない。

ビジョンを打ち立てるのが上手な経営者と言えば、本田技研の本田宗一郎さん。ホンダが静岡県の小さな町工場のころから世界のホンダになるんだとビジョンを打ち立てた素晴らしい経営者です。

はたまた、社会変革型リーダー。こちらは神様クラスです。人の名前で言うと、幕末から明治にかけて渋沢栄一さん、松下電器(パナソニック)を作られた松下幸之助さん。そして、この間亡くなられた稲盛和夫さん、稲盛さんも晩年に日本航空の再建まで託されてそれを成功させた神様クラスのビジョンシップも強ければマネジメントも強い方もいれば、でも一方で、面白いんですがビジョンは強くないけれども、マネジメントが強ければ仕組み創造型リーダーになれるんじゃない。

大野耐一さんはトヨタにおいてかんばん式の生産方法を確立された方です。名前はさほど知られている方ではないかもしれませんが素晴らしいリーダーです。そして藤沢武夫さんと言えば、ここに書いていますけれど(本田技研)、本田さんとペアになって本田を成長させた方です。はたまた、こちら。松下電器の高橋荒太郎さん、松下幸之助さんとペア…どころか、松下さんはこの高橋さんを本当に神様の様にありがたがったみたいですね。神様の神様ですからね、どんだけすごいんだってぐらいの方ですが、松下の社内で労務関係(労働組合の折衝など)をものすごく丁寧に熱心に行った方なんです。ですので、高橋さんがいたからこそ、松下があそこまで成長できた。もしくは、松下さんがビジョンに集中できたなんてところはあったかもしれません。

ぜひですね、今回の動画をご覧いただいた方は、リーダーとは、マネジメントとは違うという誤解を離れていただいてねビジョンシップもマネジメントシップも両方とも持つのがこれからのリーダーなんだと発想を切り替えていただけると活躍の機会が広がるんではないかと思います。

前ページ
リーダーシップの3つの誤解を読む
リーダーシップ研修のページに戻る 次ページ
ミンツバーグの役割理論で読み解くリーダーの具体的な行動を読む

お問い合わせ下さい

シンメトリー・ジャパン問合せ窓口

記事には書ききれなかった様々なノウハウをご紹介することができます。ご要望・ご質問をお問い合わせページよりご連絡ください。