「労働組合の役割は何だろう…」。そんな風に思うときに手にとってしまうかもしれないのが「UNITE!そうだ労組、行こう。」です。

賃金闘争以外の労働組合の役割

本書の魅力はなんと言っても様々な労働組合が紹介されている第2部、「きらり労働組合」です。たとえば、陸前高田市職員労働組合の話。宮城県南三陸町の防災対策庁舎から、防災無線で町民に避難を呼び掛け続けた結果、津波の犠牲になった町職員の話はよく知られていますが、陸前高田市においても、

労組としての活動は今も決して順調とは言えません。市役所では、臨時や嘱託も含めると120任意所寿の職員が亡くなりました。組合役員も書記長と書記次長、会計の3人を失いました。

という菅原正弘委員長の述懐を聞くと胸が詰まります。

そのようなご苦労の中でも、2012年8月に体制を新たにすると、全職員300人を対象に「生活と仕事のアンケート」を採り、メンタルヘルスに関する状況などをフォローすることを始めているとか。

陸前高田市に限らず、被災地の自治体職員のかたのストレスは想像するにあまりあります。一方、公共の仕事を担われているが故に苦労を口に出せないというところもあるでしょう。このような状況においては、労働組合の意義は大きいと感じました。

岩手県立高田病院を裏で支えた労働組合

同様に、岩手県立高田病院においても、労働組合の新たな役割を見ることができます。被災から四ヶ月後の2011年7月には仮設施設で外来医療を再開し、2012年2月には入院を受け入れる態勢が早くも整えられました。この背景には、岩手県医療局労働組合高田病院支部の活躍があったと想像されます。

実は高田病院、震災を遡ること8年前の2003年には、件の病院縮小計画に反対する「県立高田病院を守り発展させる市民の会」が発足しています。その中心になったのが上述した陸前高田市職労。この活動では、

女性団体やPTA連合会、青年会議所など様々な組織を巻き込みながら、病院側と懇談を重ね

たとのことで、ここ培われた人的、心的ネットワークが復興に際しては有効にはたらいたのでしょう。ここにも、ネットワークの「ハブ」になるという労働組合の新たな存在意義を見て取れます。

官製ワーキングプアを防ぐのも労働組合の役割

病院と似たような活動が行われているのが「陸前高田市保育をよりよくする会」です。これは、公立、法人保育所の職位にゃ保護者が中心となってつくられたもので、非正規保育士の処遇や公立と法人間の給与格差がないかのチェック期間として機能しているとのこと。やはりここでも、陸前高田市職労が発足に関わったとのことで、労働組合の新たな姿を示唆しています。

なんでも、「官製ワーキングプア」と呼ばれるそうですが、地方自治体や公立施設における非正規職員の給与水準の低さは大きな問題だとか。全国的にみても、非正規社員の割合は正社員の半分に届くほど大きなもので、これを是正していくのは大事なことでしょう。そのような流れの中、上述の「陸前高田市保育をよりよくする会」というのは、面白い活動であると興味をそそられました。


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