いま流行の1 on 1 (ワンオンワン)。「ウチでも導入されたんだけど、何を話していいものか…」。そんな悩みを持つ方が手にとってしまうかもしれないのが世古詞一先生のご著書、「シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―」です。
シリコンバレーで生まれた1 on 1 (ワンオンワン)
まず、1 on 1とは何か。もちろん上司と部下のとの面談なのですが、著者の世古詞一先生によると、
一般的な面談との大きな違いは「これは部下のための時間」だということです。(中略)部下の気持ちがすっきりしたり、納得感を持ったり、次のチャレンジへ行動していこうとすることが最も重要なことです。
とのこと。この1 on 1、発祥は米国のシリコンバレー。
シリコンバレーでは人材が宝です。優秀なエンジニア一人で会社の命運が変わることもあります。
という前提で、部下を尊重することが求められているとのこと。
加えて、ビジネスのスピードが上がっていることも背景になっています。日本でも目標管理制度(MBO: Management By Objective)で上司と部下の面談がありますが、それはせいぜい半年に1回か年1回。これでは日々刻々と変わるビジネスのスピードに対応できるはずもありません。したがってシリコンバレーでは、上司と部下が週1回、30分から1時間程度の1 on 1ミーティングを行うとのこと。日本でもヤフーはこのぐらいの頻度で1 on 1を採り入れていると言われています。
一方で、本書で著者の世古詞一先生が提唱しているのは、
1 on 1の頻度は、最低でも月1回。部下との関係構築ができていないうちは、私は月2回を推奨しています。そのくらいの頻度で関わることで、変化が現れてきます。
とのこと。
1 on 1(ワンオンワン)のためのマネジャー自己診断テスト
1 on 1を的確に行うためには、当然部下のとの信頼関係が必要です。そのためにもまずは、現状把握として、マネジャーが自己診断テストをすることを著者の世古詞一先生は勧めています。具体的には、下記の設問に答えることによって、マネジャー自身が厳格父親タイプなのか、心配性母親タイプなのか、唯我独尊タイプなのか、はたまた高度バランスタイプなのか分かるとのこと。ご興味がある方は本書80pでぜひチェックしてみて下さい。
- 部下のプライベートな状況について必要なことは十分把握している
- 自分のプライベートな状況を部下にオープンに話せている
- 部下の心身の状態について、随時気にかけて声をかけている
- 部下の仕事のボリュームや残業時間などを気にかけている
- 部下を承認したりほめたりしている
- 部下のモチベーションが上がるように指摘をしている
- 部下の仕事上の不安やモヤモヤしていることについて、よく聞いてアドバイスをしている
- 緊急度が低く重要度の高いことについて、部下と議論する場が定期的にある
- 部下と十分な対話を行い、適切な目標設定をしている
- 評価時に部下が納得感を持てるフィードバックを行っている
- 部下の業績の振り返りや、そこから得た学びや成長について話をしている
- 部下の今後のキャリアや将来のことについて話す機会が十分に持てている
- 会社や部門の方針、方向性について背景を含めて部下に説明している
- 上役が集まる会議で決まった事項や情報を、部下に十分に伝達している
1 on 1 (ワンオンワン)で何を話すのか
では、実際の1 on 1の場面では何を話すのか。著者の世古詞一先生は、「1 on 1実践マップ」と名付けた7つの項目を提唱されています。
- 信頼関係づくりステージ
- プライベート相互理解
- 心身の健康チェック
- モチベーションアップ
- 成長支援ステージ
- 業務・組織課題の改善
- 目標設定/評価
- 能力開発/キャリア支援
- 戦略・方針の伝達
そして、大事なのは1 on 1の「その場」ではなく事前準備とのこと。事前に部下に「1 on 1共有シート」を送って、下記の項目を考えてもらい、話したいトピックを考えてきてもらうのです。
- 目標を達成していく上でモヤモヤしていること、困っていることについて
- 業務上での気づき (前回から今までで、一番力を入れた業務は何ですか?それについて自分が学んだことや強みが発揮できたところは?)
- チーム力向上 (チームがもっと良くなるためのアイデアなど)
- マネジャーへのお願い (手伝って欲しいことや、その他リクエスト)
- 個人的なトピック (プライベート事情や体調について共有したいこと)
- 将来キャリアについて (変更などあれば)
確かにこれならば、1 on 1の時間になって、「さて、何を話そうか?」という疑問はなくなりそうです。
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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