エンゲージメント・サーベイを実施したいのだが、具体的にはどうすれば…?」。そんなとき手にとりたいのが中原淳先生のご著書「サーベイ・フィードバック入門――「データと対話」で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】」です。

エンゲージメント・サーベイ全体のフレームワーク

エンゲージメント・サーベイは実施する「だけ」では意味がないというのが本書の基本的なスタンスです。むしろ、サーベイから得られたデータを従業員にフィードバックする、そして対話をすることが重要であると著者の中原淳先生は提唱しています。全体のフレームワークとしては、

  1. サーベイによる見える化:自分の職場・チームの問題を可視化する
  2. ガチ対話:サーベイによって明らかになったデータに現場の人々が向き合い対話を行う
  3. 未来づくり:自分たちの将来のあり方を自分たちで決めてアクションプランを得る

となります。すなわち、エンゲージメント・サーベイを起点にして組織変革、もしくは組織開発を実行することになるのです。

成功する組織変革を導くエンゲージメント・サーベイ

ここで、成功する組織変革のフレームワークを、カーネギー・メロン大学のロッソー教授の論文を元に紹介します。「成功する組織変革に満たされる要件:SUCCESSFUL ORGANIZATIONAL CHANGE: INTEGRATING THE MANAGEMENT PRACTICE AND SCHOLARLY LITERATURES」と題されたものからの抜粋ですが、下記の10項目が指摘されています。

  1. 問題に対するデータ(事実)を集める
  2. 変化に対する組織の準備度合いやタイミングを見極める
  3. 科学的知見に基づいた変革のための介入
  4. 効果的な変革のリーダーシップを開発する
  5. 説得力のある変革のビジョンを開発し伝える
  6. ソーシャルネットワークを用いてはたらきかけ、影響力を活用する
  7. 実施をサポートするために有効な実践を利用する
  8. 小さなプロセスと実験を促進する
  9. ゆっくり時間をかけて変革の進捗と成果を評価する
  10. 変革が効果を持続的に発揮できるように制度化する

すなわち、企業変革の起点になるのは事実(データ)という位置づけです。ここにエンゲージメント・サーベイの必要性が出てくるわけです。

日本企業はエンゲージメント・サーベイにすら至っていない

一方、著者の中原淳先生は、日本企業においてはデータを使いこなす「前段階」であるとの認識を示されています。具体的には、

残念なことに、ほとんどの日本企業のデータ管理体制は、「データを活用した人事」のかなり手前にあるように思います。様々な企業や組織から相談を受けるのですが、そのほとんどが、データ活用以前

という指摘です。たとえば、下記の状況が多いのだとか。

  • そもそも、データを分析する目的が不明確
  • そもそも、どこに「データ」があるか分からない
  • そもそも、「データ」って何?
  • そもそも、データがつながっていない
  • そもそも、データが分析できる人材がいない
  • そもそも、データをフィードバックしたことがない

したがって、まずはこれらの体制を整えてからエンゲージメント・サーベイを実施すると言うことになるのでしょう。


画像はアマゾンさんからお借りしました。

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