「中途採用者が実力を発揮できない…」。そんな悩みをお持ちの方がチェックしたいのが尾形真実哉先生のご著書「組織になじませる力~オンボーディングが新卒・中途の離職を防ぐ」です。 今回は、オンボーディングに関する組織全体の取り組みをまとめました。

効果的なオンボーディングのための環境整備4か条

組織としてオンボーディングを上手に行うために、著者の尾形真実哉先生は 描きを提唱されています。

  1. 職場への働きかけ
    • 先輩社員の意識改革
  2. 上司を育成上手に育成する
    • 上司の重要性
    • 育成上手の教え方
    • 育成上手にするための具体的施策
  3. トップを巻き込む
  4. 会社全体で育成感を共有する

この中から、1番目の「職場への働きかけ」を見てみましょう。ここで重要なのは「納得感」です。つまり、オンボーディングの様々な施策を採るにしても、現場がイヤイヤやるのではなく、納得したうえで積極的に取り組む必要があるとのこと。そして、このためにも、

自分たちの意識や教育観、教育方法を見つめ直す

ことを著者の尾形真実哉先生は提案されています。

オンボーディングで育成上手な上司とは?

では、2番目の「上司を育成上手に育成する」も見てみましょう。大前提として、

  1. 若手社員の組織適応は、若手自身の問題よりも、環境が重要な役割を果たす。
  2. その中でも、特に上司の役割は多大である。

という状況の下、著者の尾形真実哉先生は、大手インフラ企業、大手金融機関の社員479名を対象としてアンケート調査を行ったそうです。「今まで指導を受けてきた人のなかで、もっとも育成が上手だと感じた人」は、下記7つの要素に収斂されるとのこと。

  1. その仕事をやる理由や根拠、思想まで遡って説明してくれること
  2. 説明が丁寧・わかりやすい・適切であること
  3. 手本や見本を示すこと
  4. 経験や失敗から学ばせること
  5. 自分で考えさせること
  6. フィードバックを怠らないこと
  7. 褒めること

これはこれで納得ですが、一方で本書のテーマはオンボーディングなので、「オンボーディングにおいては特にどれが重要か」が明確になっていると、読者としてはさらにありがたいと感じました。

トップをオンボーディングに巻き込むことの重要性

では、3番目の「トップを巻き込む」も見てみましょう。ここでも著者の尾形真実哉先生は調査結果の分析をされています。具体的には、「中途採用者のオンボーディング(定着・戦力化のための入社後の取り組み)に力を入れていない理由を教えて下さい」(複数回答可)のアンケート調査です。

順位 内容 回答数
1 予算や人員が足りないから 111
2 何から取り組めば良いかわからないから 97
3 トップ(経営)がその重要性を理解していないから 55
4 現場の理解や協力が得られないから 54
5 定着率が良いから 40
6 対策しても離職率は下がらないから 13
7

上司のマネジメント力が高いから

10

3番目にあげられているのはそのものズバリ、トップのオンボーディングへの関わりの重要性ですし、1番目の予算や人員に関してもその原因はトップの関与の低さに帰結されます。したがって、トップがいかに重要かが示された結果と言えるでしょう。

では、どうやってトップをオンボーディングに巻き込むのか。これは本書では触れられてはいませんが、オンボーディングと会社業績の関係を明らかにした研究があると、説得力があると観じました。例えば、オンボーディングへの取り組みと、ひとりあたり売上の相関などの調査は、上場企業を対象にできそうです。

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