ラグビー日本代表といえば、躍進著しいのはご存知でしょう。その背後にあるリーダーシップに迫るのが荒木香織先生のご著書、「リーダーシップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力」です。

そして、もしこの分野に本気で興味を持つ方は、谷口真由美先生のご著書、「おっさんの掟: 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」」も併せてお読みください。「日本人にとってのリーダーシップとは何なんだろう?」と本質的な問いを考えるキッカケにしていただけます。

ラグビー日本代表ヘッドコーチ、エディー・ジョーンズ氏のロードマップ

まずはラグビー日本代表。2011年にエディー・ジョーンズ氏がヘッドコーチとして就任してからの躍進は多くの人が知るところですが、その前は「鳴かず飛ばず」。2011年のワールドカップでは、予選で3敗1分けという成績です。とくにニュージーランド戦は、7-83というスコアで、現地の観客から嘲られるという「ハミルトンの失笑」事件まで起こりました。

それをわずか数年間で改革したのがエディー・ジョーンズ氏。そして、本書の著者の荒木香織先生はメンタルコーチとして同氏を支えた方です。その荒木先生いわく、エディー・ジョーンズ氏の成功の背後には明確な「ロードマップ」があったとのこと。曰く、

  • 1年目:リーダーシップやリーダーの役割について理解する
  • 2年目:実際にプログラムを構築して、リーダーたちが取り組んでいく
  • 3年目:W杯に向け、2年目に取り組んだ内容で着々と練習していく
  • 4年目:TOP10を目指し、実際にW杯でそのリーダーシップを発揮する

すなわち、リーダーシップこそがエディ・ジャパン躍進の秘訣であることが分かります。

なお、ここで言う「リーダーシップ」は、ヘッドコーチのエディ・ジョーンズ氏のみのものではありません。むしろ、

組織の軸になるようなコーチングスタッフによるリーダーシップ。さらに、選手5-6名で形成するリーダーシップ。この二本立てでチームをリードしていくのがデュアル(2拠点)リーダーシップです。

とのこと。

ラグビー日本代表の成長するための6つのポイント

上記のリーダーシップに加え、選手全体が成長するための6つのポイントとして書きを実践していったとのことです。

  1. コミットメントとモチベーション
  2. 自信
  3. コミュニケーション力
  4. フィードバックとコメントの受け止め方
  5. 集団凝集性とリーダーシップ
  6. 個々の心理的スキル

この中から6番目の「個々の心理的スキル」を見てみましょう。

「心の準備をする」のも心理的スキルだし、「リラックスする」のも心理的スキルです。(中略)リラクゼーションやセルフトーク(自分自身に語りかける言葉)、注意力、集中力など重要な心理的スキルを学べば、もっと上の段階へ進むことができます。

とのこと。

ここでふと思い出されるのが、サッカー日本代表で長らくキャプテンを務めた長谷部誠選手のご著書。「心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣」というのは、長谷部選手の心理的スキルにまつわるノウハウなのでしょう。

ポイントは協会との関係?

本書には上記を始めとした様々なノウハウが盛り込まれていますが、実のところ特別なことは一切ありません。リーダーシップもコミュニケーションも、そして心理的スキルもスポーツの世界では当たり前といえば当たり前です。

ではなぜ、エディー・ジョーンズ氏がヘッドコーチ就任後、これほどまでの躍進を成し遂げられたのか?要因はおそらく2つであると想像します。1つ目は、実行力。当たり前のことを現場でどこまで実践するか、もしくは選手に実践せしめるかでしょう。そして、もう一つの要因は協会との関係性にあるのではないでしょうか。

冒頭紹介した谷口真由美先生のご著書、「おっさんの掟: 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」」によると、日本ラグビー協会は保守的な体質を持っているとのこと。この協会の意向をはねのけて、自身が信ずる強化策をどこまで貫けるかがポイントです。事実、エディー・ジョーンズ氏の前任者のジョン・カーワン氏は、協会関係者が「友人」であったとされており、それが成績の低迷につながったとの想像も成り立ちます。

そうすると、結局の所はエディー・ジョーンズ氏という強烈な個性があって初めて、ラグビー日本代表の躍進はあったのかもしれません。


画像はアマゾンさんからお借りしました。

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