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リーダーシップ・カレッジ

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目次:»リーダーシップ・マトリックス »リーダーシップのパスゴール理論 »その他のリーダーシップ理論の紹介 »リーダーシップを学べる書籍

シンメトリー・ジャパン代表 木田知廣

こんにちは。シンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。

「ウチの社員、リーダーシップがない人が多くて…」

こんな相談を人事の方から受けることが多くなってきました。悩みをお聞きすると、


  • 言われた仕事はこなすけれど自らリスクを取って新たなことにチャレンジしない
  • 様々な人を巻き込んで仕事を進めるのが苦手
  • 職場の人間関係が希薄

などなど。

そんな悩みにお応えするのが私たちのリーダーシップ研修です。「そもそも」から学びたいなら、チーム対抗のシミュレーション形式による「リーダーシップ『体感』研修」、自分に合ったスタイルを確立したいなら「リーダーシップマトリックス研修」など、御社のニーズに合わせてカスタマイズした研修をお届けします。

共通するのは、気づきを与える「しかけ」。

 人の行動が変わるのは、自ら「気づき」を得たときです

講師からのフィードバックはもちろん、様々な工夫により「気づきを」を与えて変わるきっかけをお届けします

具体的なものは固まっていなくてもけっこうです。事例の紹介もしながら意見交換から始めますので、まずは下記よりお問い合わせください。

シンメトリー・ジャパン代表 木田知廣

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    リーダーシップ・マトリックス

    リーダーシップはともすると「持って生まれた資質」と誤解されがちですが、実際のところは後天的に育成できます。そのために、欧米を中心に様々なリーダーシップ理論が研究されています。
    これを応用して、自身のリーダーシップスタイルを明らかに、他のスタイルを身につけるきっかけにするのがリーダーシップ・マトリックス。典型的なリーダーシップスタイルである、

    • 指示的 (Directive)
    • 支援的 (Supportive)
    • 参加的 (Participative)
    • 達成指向的 (Achievement Oriented)

    の4つの軸でリーダーシップスタイルを考えます。

    リーダーシップ・マトリックス

    リーダーシップのパスゴール理論

    リーダーシップ・マトリックスの理論的背景が、ロバート・ハウス教授によって提唱されたパスゴール理論(path-goal theory)。「パス」はサッカーのパスではなくて、「道筋」を表す英単語です。すなわち、リーダーの役割とは、「フォロワーに道筋(path)を示して目標達成(goal)を容易ならしめること」と言う考え方です。

    パスゴール理論で提唱される4つのリーダーシップスタイル

    リーダーシップのパスゴール理論では、リーダーシップは固定的なものではなく、状況に応じて使い分けるべきであると提唱されています。

    具体的には、

    • 指示的 (Directive)
    • 支援的 (Supportive)
    • 参加的 (Participative)
    • 達成指向的 (Achievement Oriented)

    の4つで、概要は下表のとおりとなります。

    指示的 (Directive) 支援的 (Supportive) 参加的 (Participative) 達成指向的 (Achievement Oriented)
    定義 フォロワーに何を期待しているかをはっきり説明し、スケジュール設定、仕事の達成方法を具体的に指示する (「行動論」アプローチのタスク志向) 相互信頼をベースに、フォロワーの感情に配慮し、気遣いを示す (「行動論」アプローチの人間関係志向) 決定を下す前にフォロワーに相談し、彼らの提案を活用する 高い目標を設定し、部下に全力を尽くすよう求める。その際、部下自身が、「自分もやればできる」と思わせるようにはたらきかける
    環境要因 ・ タスクが曖昧なとき、職務内容を明確にすることで、部下のパフォーマンスを高め、満足度向上につながる

    ・ ワークグループ内に相当なコンフリクトが存在する時には従業員に高い満足度をもたらす

    ※罰則を伴う指示的スタイルは適切ではない

    公式の権限関係が明確かつ官僚的であるほど指示的行動を控え、支援的行動を増やす必要がある ・ 職務を部下に明確に認知させる効果がある タスクの構築が曖昧な時に、努力すれば好業績につながるという部下の期待を増す
    部下の要因 高度な能力や豊富な経験を持つ部下に対してはくどすぎる可能性が高い

    ローカス・オブ・コントロールが外部にある(自分の行動は環境によって決定されると信じている)人はもっとも満足する

      ・ 部下自身の目標と組織の目標を合致させやすい

    ・ ローカス・オブ・コントロールが内部にある(自分の行動は自分で決定すると信じている)人はもっとも満足する

     

    ※出所、ロビンス、組織行動のマネジメント―入門から実践へ、ダイヤモンド社、2009年を元に著者改編

    パスゴール理論によるリーダーシップを発揮する状況

    上述のとおり、パスゴール理論ではリーダーのおかれた状況を「環境要因」と「部下の要因」で整理しています。環境要因はより詳しくは、

    • タスク構造
    • 公式の権限体系
    • ワークグループ

    の3つです。タスク構造は、部下の仕事が明確かあいまいかを指し、公式の権限体系は上司が部下に対して発揮できる権力の程度を指します。一方、「ワークグループ」はハウス教授による原論文でも明確な定義はないのですが、文脈から察するに「その組織にどのような人がいて、その信頼関係はあるかないか」と想定されます(※)。

    部下の要因も同様に細分化され、

    • ローカス・オブ・コントロール
    • 経験
    • 認知された能力

    の3つです。なお、ローカス・オブ・コントロールはRunyonとMitchellによるリーダーシップの先行研究により、「行動決定源の所在意識」と訳され、自分の行動を自分が決定できると思っているか、それとも外部環境によって決められてしまうと思っているかと定義されます。

    House, Mitchell, Path-Goal Theroy of Leadership

    パスゴール理論の指摘するリーダーシップのリスク

    パスゴール理論は裏を返せば、リーダーシップにはリスクがあるという指摘になります。つまり、ある状況下においてうまく言ったリーダーシップスタイルを、他の状況でも使うとかえって部下のゴール達成の行動を損ねることになるのです。

    下記、ハウス教授の指摘ではなく、本稿の筆者による見解として、典型的なリスクを記載します。

      指示的 (Directive) 支援的 (Supportive)  参加的 (Participative) 達成指向的 (Achievement Oriented)
    リスク マイクロマネジメントと思われると部下の主体性と動機づけを損ねる リーダー自身は、その上司から低く評価される 意見を聞くことで部下の期待値が高まり、それに応えられないと失望を招く リーダーが高い目標を掲げても部下がついてこずに「シラけて」しまう

     

    パスゴール理論の前提となった理論

    パスゴール理論はいきなり提唱されたものではなく、先行研究に大きく依っています。その中でも主体となった2つの理論を紹介します。

    リーダーシップのフィードラー理論

    提唱者の名前をとって「フィードラー理論」と呼ばれるのは、1964年にフレッド・フィードラーに依って提唱された理論です。曰く、リーダーシップを人間関係志向、タスク志向の2つに分類し、状況とリーダーシップスタイルがマッチした時にリーダーはもっとも成果をあげると提唱しています。

    その際、状況要因を下記の3つの変数でとらえています。

    • リーダーとメンバーの関係:部下がリーダーに対して抱く、信用、信頼、尊敬の度合
    • タスク構築:部下の職務範囲が明確に定義されている度合
    • 職位パワー:雇用、解雇、懲戒、昇進、昇格などに対しリーダーが持つ影響力の度合

    その上で、極めて好ましい状況、もしくは好ましくない状況においてはタスク志向型のリーダーが、普通の状況においては人間関係志向型のリーダーが成果を出すとフィードラーは結論づけました。

    その後の研究においては、この結論は一部しか支持されていませんが、それでも状況に応じて適切なリーダーシップは変わりうると言うコンティンジェンシー理論の発展に寄与したと位置づけられています。

    動機づけの期待理論

    ハウス教授のパスゴール理論を支えるもう一つの柱が、期待理論です。これは、ビクター・ブルームによって最初に提唱された動機づけ理論で、部下の動機づけのためには下記の3つの要素を繋いで、その道筋を明らかにすることが上司の役割であるとされています。

    • 部下自身の努力
    • パフォーマンス
    • 報奨 (非金銭的な報奨も含めて)

    すなわち、部下自身の努力が高いパフォーマンスにつながるという期待を高め(期待:Expectancy)、そのパフォーマンスが必ず報奨に結びつくとの理解を高め(道具性:Instrumentality)、さらに部下自身にとって魅力的な報奨を用意することになります(魅力:Valence)。

    なお、期待理論は動機づけ理論の中でもその「方向性」を正しい方向に導くためのものです。単純に活性化の度合いを上げるには、上述の魅力(Valence)を考えるヒントとなる欲求理論が関連してきます。

    リーダーシップ理論の紹介

      前提 (仮の)結論 評価
    特性論 リーダーには、固有の性質(特性)があるはずだ 下記の5つで説明できる。1.動機と意欲、2.他者を導き影響を与えようとする欲求、3.正直さと誠実さ、4.自信・知性、5.責任分野に関する深い専門知識 ・状況要因を無視している。ある状況における「適切な行動」が他の状況においても適切とは限らない・リーダーを後天的に育成することは出来ない、と言う結論になる
    行動論 ・有能なリーダーには特有の共通する行動があるはずだ・それをマスターすれば、リーダーは育成できる 人間関係志向-タスク志向の2軸で整理。両方とも高いスコアを示すのが成果につながる ・リーダーの行動パターンとパフォーマンスの間に一貫した関係を見いだせなかった・リーダーシップを受け入れるフォロワーの存在が受動的な存在として捉えられていたことに理論的課題が残った
    コンティンジェンシー理論 適切な行動は状況に依存する パス-ゴール理論 おおむね受け入れられている
    相互作用論 リーダーシップをリーダー固有のアクションではなく、リーダーとフォロワーの相互作用と捉える ・リーダー参加型理論・リーダーシップに関する9つの自然法則・カリスマ的リーダーシップ理論 現在も議論中
    変革的リーダーシップ論 市場の変化が激しく、複雑性を増す中で、企業には「変革」が必要とされる ・リーダー vs. マネージャー 現在も議論中

    リーダーシップを学ぶ書籍

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