大人の五教科スキルアップをサポートするシンメトリー・ジャパン

社内講師養成による研修内製化

こんにちは。シンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。

「研修って、難しいものなんですね…」

社員に対する研修の「内製化」に取り組み始めた人事部の方から最近よく聞く声です。

とくに新人研修や階層別研修の場合、教える内容はだいたい決まっているし、社内にノウハウの蓄積もある、あとは社内トレーナーを育成すればできるんじゃないか…と、ある意味気軽に始めるケースもありますが、いざやってみると、この「社内講師の育成」がなかなかのくせ者です。

というのは、教えることの本質である、「聞き手に『気づき』を与える」ために必要なスキルは、プレゼンテーションや説明の技術とは異なるため。一見すると、キレイな資料と元気があってハキハキした言動があれば、相手に「伝わる」と思いがちですが、実際には「思ったほど伝わらない」のが人事担当者のホンネではないでしょうか。

そこで、このページでは筆者のこれまでの経験と、当社が開催している「ビジネスファシリテーター養成講座」、「マネー講師養成講座」を通じて得た講師育成の知見を元に、社内トレーナー育成の勘所を「分ける」というキーワードでまとめました。とくに、経営大学院の立ち上げという極めて珍しい体験を通じて得た、学習目的を定め、そのためのカリキュラムを設計し、講師の育成と講座のデリバリに責任を持つという体験は、研修の内製化を志向している方には役立つものと考えます。

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「プレゼンテーション」と「ファシリテーション」を分ける「目に見える」境目

社内講師に必要とされるスキルの第一は、多くの人前で話し納得と共感を得る「ファシリテーション」と呼ばれるスキルで、これを「プレゼンテーション」とは分けて考えると、講師育成が効果的に進みます。

この両者、コミュニケーションの中心は自分か・聞き手か、抽象度のレベルはどちらが上か、など違いはいろいろありますが、ここでは思いっきり分かりやすく、下記のように押さえてみてください。

●「プレゼンテーション」は目に見えるものをコントロールする
●「ファシリテーション」は目に見えないものをコントロールする

つまり、プレゼンテーションは、実際に話すこと・投影するスライドや配布資料・講師としての立ち居振る舞いなどに関わるもので、聞き手と話し手が議題の前提条件を共有していたり思考のパターンが似ている時などは極めて効率よく知識の伝達ができるものです。ところが、こと教育的な状況下では、なかなか有効には作用しません。そもそもが、その分野に対する知識がないからこそ受講しているわけで、いくらキレイな図表を見せられたからと言って「分からないものは分からない」のです。

そこで登場するのが、「ファシリテーション」。これは目には見えないものですから、受講者の持っている知識レベルや好みのコミュニケーションスタイルを理解することであり、そのうえで説明の際の枠組みやたとえ話を上手に設計して「相手の頭の中に新しいイメージを植え付ける」という目的を達成することです。いわば相手中心のコミュニケーションになり、より納得と共感を得やすいのは想像がつくのではないでしょうか。

一つ注意点があるとすれば、「ファシリテーション」という言葉は広い概念であるため、色々な人が色々な意味合いで使われているということ。社内講師育成のヒントを求めて「ファシリテーション」とタイトルの付いた本を買ってみたけど、何かが違うと違和感を持った経験を持つ人もいるのではないでしょうか?

そこで、ファシリテーションという概念を下記の3層構造で分けて理解をすることをお勧めしたいと思います。ちなみに、ファシリテーションに関する書籍の中には「企業変革のツールとしてのファシリテーション」というスタンスを取るものも多いですが、これは上の2つの層にまたがるスキルを「企業変革」という応用分野に適用した例です。

[参考資料]
●プロのファシリテーターが考えているたった一つの大事なこと

http://www.insightnow.jp/article/4983

●標準ビジネスファシリテーターモデル

http://ofsji.org/clo/clo%E7%B7%8F%E7%A0%94/sbf

社内講師の人格とスキルを分ける「フィードバックの同心円モデル」

ここまで来ると、社内講師の育成にはそれなりの時間と準備が必要なことはお分かりいただけたかと思います。現場でバリバリ成果を出している優秀な人材といえども、ファシリテーションノン技術をマスターしているとは限りませんからね。欧米では、T3 (ティースリー)なんて呼ばれることもありますが、”Train The Trainer”、すなわち、講師養成の体系的なカリキュラムが必要になるゆえんです。

そして、T3の中でもキモになってくる活動が「フィードバック」です。なにしろコミュニケーションに関わることですから、「聞き手がどう感じたか」を講師候補者に的確に伝えてあげて、良いところはさらに伸ばし、悪いところは改善してもらう必要があるわけですが…。実際のところは、これ、難しいですよね。

相手は社内の人間ですから、今後どこかで仕事上のつながりが出てくる場合もあることを思えば、人間関係をこじらすことを恐れてホンネのフィードバックはしにくいものです。たとえ社内講師候補がダラダラしゃべって聞きているこちらは苦痛だったとしても、「たいへん丁寧な説明で良かったかと思うのですが、もう少し簡潔にした方が…」なんて、幾重にもオブラートに包んだ言い方になるのが関の山。

これを避けるために、フィードバックする側も、される側も頭の中に持っておきたいのが、「フィードバックのコンセントリック(同心円)モデル」です。

「マッチング」と言っていますが、「相手に何を伝えたいか」と「それを伝えるために実際に言ったこと」、そして「聞き手の反応」の間に働く相互作用を講師候補者に伝えてあげることで、ファシリテーションのスキルアップが効果的に進みます。「そのポイントを伝えたいならば、こういう言い方がいいのでは?」(意図と動作のマッチング)、「その専門用語をいきなり使ってしまうと、初学者は混乱すると思います」(話したことと聞き手の反応のマッチング)、など、これまでにはない効果的なフィードバックができるのではないでしょうか。

そして、この図でもう一つ大事なことは、赤い矢印は「パーソナリティ」までは達していないことです。
つまり、フィードバックのために辛口なコメントも言うかもしれないけれど、それはあなたの人格を攻撃しているのではない、ということを事前の共通認識として持っておくべきなのです。

もちろん、これはフィードバックの受け手にとっても大切で、大事なフィードバックほど耳に痛く響いて、無意識のうちに防御態勢を取ってしまうものですが、これではフィードバックを受ける意味がありません。他者からのコメントを素直に自分のスキルアップにつなげるためには、「これは人格攻撃ではないんだ」と安心して思えるフレームワークが必要なのです。

[関連項目]
フィードバックで使える具体的なセリフはこちら
●苦手な人にもサラッと頼み事が出来る「ナンパ話法」

http://www.insightnow.jp/article/5081

社内講師と現場の仕事を「分けない」

さて、本稿で述べる最後の点は、今度はプラスワンの「分けない」になります。すなわち、社内講師になることを通じて学んだファシリテーションのスキルは現場でも活きるものなので、「これは講師の仕事」、「これは自分の本業」と分けずにどんどんと使うべきである、という点です。

顧客との商談や取引先との交渉、部下の面談や社内での折衝、ビジネスマンの仕事の多くはコミュニケーションに関わるものであり、最近特に高まっているのは、「前提条件を共有しない人とでも協働しなければならない」という問題意識です。

ビジネスのスピードが速くなり、顧客との関係もビジネスライクに割り切ったものになる…好きか嫌いかは別にして、私たちを取り巻くビジネス環境は、昔ながらの「あうんの呼吸」や「いつかは分かるから今は我慢しろ」という付き合い方を許さなくなっています。そのような中で成果を出すためには、前提条件を共有してなかったり自分とは違う価値観を持つ人でも、短期間のうちに仕事内容に納得し、できれば共感してもらう事が重要なのは言うまでもないでしょう。そして、ファシリテーションは、これをなし遂げるための極めて有効なツールなのです。

いえ、逆に言うならば、ファシリテーションというツールを使えるようになって始めて気づくはずです。「これまでの自分のコミュニケーションは、恐ろしいほど相手に伝わっていなかったのだ」、と。

社内講師に選ばれるような社員は、現場でもそれなりの実績をあげているはず。そのような人々に、ファシリテーションスキルでさらなる成果を上げてもらう…このような好循環を達成できた時、研修の内製化は当初思っても見なかったほどの全社的な成果を上げることになります。


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