エンゲージメントを測定するためにサーベイを導入したい…」。そんな風に思ったときに手にとってしまうかもしれないのが志田貴史先生のご著書、「会社の業績がみるみる伸びる 「社員満足(ES)」の鉄則」です。書名の通り、本の中心テーマは社員満足度(ES: Employee Satisfaction)です。本来的には満足度とエンゲージメントは異なるものですが、参考になるところがあります。

なぜ若者は3年で辞めるのか

社員満足度(エンゲージメント)が低いことによる悪影響として、社員の離職率が高いことを著者の志田貴史先生はあげられています。具体的には、厚生労働省職業能力開発局の調査「若年層キャリア支援研究会報告書」を引用し、下記の分析をされています。

  入社1年未満で離職する社員の退職理由 入社3年を経過してから退職する社員の退職理由
1位 仕事が自分に合わない、つまらない 会社に将来性がない
2位 賃金や労働時間等の条件が良くない 賃金や労働時間等の条件が良くない
3位 人間関係が良くない キャリア形成の見込みがない

この結果から、

若手社員のリテンション施策(離職防止対策)として、まずは会社のビジョンを明確に示し、本人のビジョンも描かせるような取り組みが今後ますます必要になってきます。

と著者の志田貴史先生は結論づけられています。

社員満足を形成する5因子10項目

社員満足をより深く考察すると、下記の10項目からなると、著者の志田貴史先生は提唱されています。

  • ビジョンへの共感
    • 経営理念・方針:経営ミッション・ビジョンを策定し、会社の羅針盤を確立する
    • 事業戦略・内容:トータル中期経営計画を策定し、効果的な広報を実施する
  • マネジメントの適切さ
    • 上司のマネジメント:管理職のEQ開発
    • 人事評価:シンプルで具体的な人事評価を策定し、オープンな運用を行う
  • 参画への充実度
    • 仕事内容:仕事ミッションを明確にさせ、自分の仕事に自信と誇りを持たせる
    • 自己成長:キャリア開発支援制度で、個人の目線と会社の目線をすりあわせる運用をする
  • 企業風土の最適さ
    • コミュニケーション:ソーシャルサポーター制度、社内SNSなどで社内交流の仕掛けを企画する
    • 組織風土:改善提案制度、表彰制度などのモチベーションアップの仕掛けを企画する
  • 職場環境の快適さ
    • 労働時間:5S運動のスタート、レイアウト変更、席替えを検討する
    • 職場環境:業務改善活動の推進、ノー残業デーの推進をする

サーベイでエンゲージメントを測定する

上記の社員満足度、もしくはエンゲージメントを測定するためにサーベイを導入することを著者の志田貴史先生は提唱されていますが、その際、「診断後」が大事であると述べられています。それが、結果を社内に報告すると言うことです。

ES診断だけやって実施側だけが満足してしまい、協力してくれた側にフィードバックがなかったら意味がありません。だからES診断をしたら、必ず社員に対して広報をするべきです。そうでないと、ES診断の効果が半減してしまいます。

とはいえ、経営者の立場に立つと、「エンゲージメントが低い項目が出たとして、全てに手を打てるわけではない」という悩みもあるでしょう。しかし、実際のところは、評価項目全てを従業員が重視しているわけではありません。すなわち、サーベイを設計する際、「この項目は重要か重要でないか」の情報収集をすることが重要です。

その上で、「社員にとって重要だが、満足度が低い」項目を重点的に改善していくのが、もっとも「効く」対策となります。