「社員のエンゲージメントを高めたい…」。そんなときに手にとってしまうかもしれないのが舞田竜宣先生のご著書「社員が惚れる会社のつくり方 エンゲージメント経営のすすめ」です。

エンゲージメントとは「絆」

まずはエンゲージメントの定義から見ていきましょう。「エンゲージメントとは、一言で訳せば『絆』です。」との前提の下、より具体的には

  1. 社員が幸福で
  2. 会社に愛着を持ち
  3. 成果を上げて貢献しようと思うこと

と著者の舞田竜宣先生は提唱されています。その上で、「愛社精神」との違いを、

愛社精神という言葉を使う人の中には、3の成果思考が必ずしも強くない人も見受けられるようです。

とのこと。ちなみに、似たような言葉であるモチベーションとの違いも確認しましょう。

モチベーションは、働く人の個人的なやる気を意味します。「私のモチベーション」という言い方はできても、「会社のモチベーション」という言い方をしないのは、そのためです。

ということで、違いを説明されています。

エンゲージメント・サーベイの落とし穴

著者の舞田竜宣先生は「まずは社員の心を測れ」と、エンゲージメントを客観的、定期的に測定することを提唱されているからです。具体的なサービス名には言及がなかったものの、組織診断サーベイなどを導入することを念頭においていると想定されます。

ただ、その「使い方」は要注意で、組織診断サーベイなどの調査は大事なのですが、個々の従業員のヒアリングがより重要であるとのこと。

現実を見ていると、調査だけ行ってヒアリングをしないという会社もあります。これはあまり望ましくありません。というのは、著者の狭い経験から言いますと、調査だけ行ってヒアリングをしない会社では、何かしらの改善アクションに結びつく勢いが生まれにくい傾向があるからです。

とはいえ、具体的にはヒアリングをどの様に行うかは難しいとも読者としては感じました。おそらく、ヒアリングで改善案を探すと言うことは、エンゲージメントが低い重要員に聞き取りを行うということなのでしょう。しかし実際のところは、それは難しいものです。

会社の、たとえば人事部から、「あなた、エンゲージメントが低かったよね。その理由を教えて?」と声をかけるわけにはいきません。なぜならば組織診断サーベイは匿名ベースで行われることが多く、「この人のエンゲージメントが低い」というのが分かってしまっては診断の信頼性を損ねてしまうからです。

あるいは、何らかの形でこれを乗り越えたとしても、エンゲージメントが低い社員が積極的に改善案を話してくれるとは思えません。むしろ、不満をぶちまけるだけに終わってしまうのではないかと懸念します。ここは、著者の舞田竜宣先生のご経験から、「このようにやるとヒアリングがうまく行く」というノウハウを教えていただきたかったところです。

「心の報酬」でエンゲージメントUP

エンゲージメントを高める取り組みとして、「トータル・リワード」を提唱されているのも本書の特徴です。「トータル」と言うからには、金銭的な報酬だけでなく、

報酬とは、働く人が「報われた」と感じるための、あらゆる要素である、という報酬哲学

と著者の舞田竜宣先生は定義しています。具体的には、下記の5つは、たとえ会社の業績が今イチでお金(原資)が十分でなくとも提供できるものとのこと。

  1. Acknowledgement (感謝)
  2. Balance of Work / Life (ワーク・ライフ・バランス)
  3. Culture (分化)
  4. Development (成長)
  5. Environment (環境)

とくに「感謝」は、エンゲージメントを高めるだけでなく、感謝された方のモチベーションアップにもつながるので、有効な方法であると感じました。