「世界に様々な国があるけど、その暮らしぶりを知りたい」と思った時に手にとりたいのがジェトロ編著、駐在員発2 知ってて良かった世界のマナーです。それぞれの国の駐在員が執筆するというスタイルで、とても生活に密着した情報が満載です。この中からいくつか、日本人になじみのない国を取り上げて紹介ます。
ハイテク大国イスラエルの真の姿
まずはイスラエルです。一昔前であれば中東の遠い国、なんだか紛争をしているというイメージが先行していましたが、今や日本とイスラエルは関係性を増しています。それは、イスラエルがハイテク大国だから。優秀な人が多く、かつ自由闊達な気風があるこの国では、ハイテクのスタートアップ企業が数多く生まれています。
そのスタートアップ企業に対して日本の大企業が投資をするというのは、もはや「当たり前」になっています。たとえばトヨタ自動車は、自社が関与する投資ファンドを通じてイスラエルの自動運転やロボット企業などに出資をしています。
そうすると、イスラエルに赴任する、なんてのもリアルにあるでしょう。そんなときに本書の記述が役立ちます。たとえば、移動のときのバスの乗り方ひとつとっても日本とはずいぶん違うそう。イスラエルでは行列を作る習慣がないので、通勤時間などの忙しい時には「決死の覚悟」で乗り込む必要があるとのこと。これに代表されるように、何かにつけて自己主張が強いのがイスラエルの風土ということがうかがえます。まあ、自己主張が強くなければあの土地で生き残っていけないのでしょうが。
ホスピタリティー大国、イラン
では、次はイランを見てみましょう。この国もまた日本人にはなじみがないので、何やら神秘的なイメージを持ちますが…、実際のところは、イラン人はホスピタリティー(おもてなし)の心が行き渡っているとのこと。もともとがペルシャという中東の交易大国だったので、外国人を受け入れるのは慣れたもの。しかも、家族の絆や地域の絆も強く、日本人にとっても居心地が良いそうです。
一方で、イスラム教の影響か、日本とは異なるところもあります。たとえばバスの乗り方。男女の区分けがきっちりとされ、男性はバスの前の方に、女性は後ろの方に乗るとのこと。もっとも、日本の電車だって女性専用車両がある時代ですから、慣れてしまえばそれほど違和感はないかもしれません。
日本との関係性で言うと、産業面でのつながりが強いわけでなく、赴任の機会もそう多くはないかもしれません。ましてや、イラン渡航歴があるだけでアメリカへの入国が難しくなると言うウワサもあるぐらいですから、「遠い国」といわざるを得ないのかもしれません。
フランクながらも階級社会のブラジル
では次にブラジルを見てみましょう。その特徴はなんと言っても多民族国家。たとえば、日本人になじみがあるところで言えば、サッカー選手でもいろいろな風貌の人がいます。日本の鹿島アントラーズで活躍したレオナルド選手は欧米的な風貌でしたし、特徴的な髪型のアルシンド選手を思い浮かべる方も多いでしょう。
この他民族のせいか、日常生活も極めてフランクであるとのこと。肩書きで態度を変えることもないそうですし、ビジネスでも笑顔が絶えないそうです。
一方で、ブラジルは厳しい階級社会であるとの指摘もあります。どの社会階層に属しているかは非常に敏感で、服装や持ち物からそれを判断しているのだとか。そして、使用人も当たり前ですが、階層意識が薄い日本人にとっては、この使用人もまた難しいところ。たとえばお給料を渡す時には、目の前でお札を数えて渡すという風習など、ちょっとに本字にはビックリするところもあるようです。
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