「ジョブ・クラフティング」という言葉に興味を持った人が手にとってしまうかもしれないのが高尾義明先生のご著書「「ジョブ・クラフティング」で始めよう 働きがい改革・自分発!」です。
ジョブ・クラフティングによる働きがいアップはエンゲージメントUPにもつながるので、従業員エンゲージメントを高めたい方にも参考になります。
ジョブ・クラフティングとは、自分で仕事に意義を見出すこと
まずはジョブ・クラフティングの実例から。著者の高尾先生は、ディズニーランドを取り上げられています。
ディズニーランドの清掃スタッフであるカストーディアル・キャストは、自分の役割を掃除係ではなく、「ゲストをもてなすキャストの一員」と捉えているといわれています。そうした自分の仕事の捉え方に基づき、彼らは、パーク内外の清掃を担当しながら、写真撮影や道案内はもちろん、ほうきでミッキーの絵を描いてゲストを喜ばせるなど、さまざまな仕事を主体的かつ柔軟に取り入れることを通じて、よりやりがいのあるものとしてその仕事を経験しています。
ただ、これは会社側が設定した仕事の捉え方なので、これを従業員自らが行おうというのがジョブ・クラフティングと理解しました。
もともとは、2001年にエイミー・レズネスキーとジェーン・E・ダットンによって提唱された、「個人が自らの仕事のタスク境界もしくは関係的境界においてなす物理的及び認知的変化」という定義になります。あるいは、「従業員が、自分自身にとって意味があるやり方で、職務設計を再定義したり再創造するプロセス」という言葉も紹介されていますが、ディズニーランドの例の方が分かりやすいでしょう。
ちなみに、もともとのレズネスキーとダットンの研究も、清掃スタッフの調査に基づいているというのが面白いところ。大学病院の清掃スタッフをインタビューしたとき、マニュアル通りに清掃する仕事だと思っている人もいれば、患者さんの治療に貢献していると考えている人もいて、そこからジョブ・クラフティングの概念につながったそうです。
ジョブ・クラフティングのメリット
ジョブ・クラフティングには下記のメリットがあると著者の高尾先生は整理されています。
- 働きがいの向上
- 能力の成長
- エンゲイジメントの高まり
なお、ジョブ・クラフティングを行えばエンゲイジメントが高まるとは必ずしも言えなくて、
自分の働きがいを高めようとすることが独りよがりのものになってしまうと、周りの人の足を引っ張るような影響をもたらす可能性があります。また、やりがいを感じられる、自分のやりたい仕事に集中するあまり、やりたくない仕事をおろそかにしてしまうジョブ・クラフティングは、職場の同僚や組織にとっては迷惑なものと受け取られるでしょう。
と警鐘も鳴らされています。
ジョブ・クラフティングの3分野
ここまで、単に「ジョブ・クラフティング」と呼んできましたが、実際のところは下記の3分野に細分化されます。
- 業務クラフティング:業務の内容や方法などの変化
- 関係性クラフティング:人との関係性の質や量の変化
- 認知的クラフティング:仕事に関わるものの見方の変化
冒頭のディズニーランドのカストーディアル・キャストの例は、自身の中の見方の変化(認知的クラフティング)が起こり、これがほうきでミッキーを描くなど仕事の進め方の変化(業務クラフティング)につながっていったと考えてもよいでしょう。
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