チームで成果をあげるには「心理的安全性」が不可欠であるとご存じでしょうか?
「ここでは間違いを認めても大丈夫」、「助けを求めてもいいんだ」…。こんな雰囲気があって初めてチームが機能するというのは、納得でしょう。
ただ…。
心理的安全性「だけ」では不十分と私たちは考えています。
なぜならば、心理的安全性にばかりを意識すると、「なれあい」や「甘え」が生まれてしまうから。
むしろ大事なのは、心理的安全性と、「規律」を両立させることです。
このために必要なリーダーとしての行動を学べる研修を提供していますので、ご興味がある方は下記よりお問い合わせください。
心理的安全性研修 サンプルカリキュラム(4時間)
時間 |
内容 (テーマ) |
具体的内容と進め方 |
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00:00 |
心理的安全性とハイパフォーマンスチーム |
l心理的安全性とは何かを理論的背景とともに理解し、なぜ、いま、職場において重要視されているかを確認する |
01:00 |
ペア演習:心理的安全性を高めるコミュニケーション |
職場で心理的安全性を高めるためのコミュニケーションを実践的に学ぶ。たとえば、相手の発言を「受け止める」こと。自身の心の中で受け止めるだけでなく、相手にも分かるような態度・行動・言葉が重要である |
02:00 |
日本企業が陥りがちな「ぬるま湯的」心理的安全性 |
日本企業の中には心理的安全性を勘違いして、「ぬるま湯」的なユルい雰囲気を目指してしまう事例も散見される。この弊害を説き、そうならないための方法論を身に付ける |
03:00 |
グループ演習:心理的安全性を高める行動3か条 |
実際に職場に戻った時に、心理的安全性を高めるためにやるべきことをグループ討議し、発表する 参加者が管理職の場合は、「自分が何をやるか」とともに、「組織としてどう取り組むか」も議題とする |
心理的安全性が重要になった背景
分析麻痺に陥る実行志向チーム
最近心理的安全性の重要性が指摘されている背景は、環境変化の激化があります。以前のように安定したビジネス環境であれば、「やるべきこと」は分かっていました。あとはそれを、他社よりも精度高くやりきることが重要で、すなわち「実行志向チーム」が求められていたのです。
ところが、環境の変化が大きくなるにつれ、そもそも「なにをやるか」が決まっていない、もしくは途中から変わることもあります。このような場合、実行志向チームはしばしば「分析麻痺」に陥ります。
- やるべきことを固めるために、まずは情報収集
- しっかりと分析してビジネスプランを立案して…
- 気がつけば環境が変わっていて、分析が無駄になってしまった
と言うのが典型的な負けパターンです。
学習志向にチームを変える心理的安全性
このような場合、求められるのはむしろ「学習志向チーム」です。まずは何らかのアクションをとる、そこから試行錯誤しながら「正解」でなくてもよいので「最適解」を求めつつビジネスを推進する、そのプロセスでメンバー個々人も、そして組織としても学習を深めてスキルアップする…。このようなチームがビジネスを成功に導くのです。
そして、実行志向チームから学習志向チームに変わるキッカケが心理的安全性なのです。なぜならば、学習には必ず失敗がつきもの。実際、「失敗から多くを学んだ」という経験は誰にでもあるでしょう。
ところが、実行志向チームはメンバーの失敗を許容しません。誰かが失敗しようものなら、「なぜそんな失敗をしたんだ」、「事前準備が足りなかったのでは」、「誰が責任をとるんだ」などなどの批判の嵐。これでは、「失敗するかもしれないけれど、新たなことにチャレンジしてみよう」と思うわけもありません。
そこで、心理的安全性。「このチームでは失敗してもいいんだ」という雰囲気があるからこそ新たな物事にチャレンジし、そこから成果を生み出し、自身の学習へとつながっていくのです。
グーグルのプロジェクトアリストテレス
実はこの心理的安全性、最初に提唱されてのは1960年代です。エドガー・シャインMIT(マサチューセッツ工科大学)教授、ウォーレン・ベニスHBS(ハーバード・ビジネススクール)両教授が、著書「Personal and organizational change via group methods」の中で、
「組織の課題や挑戦に対して安心して行動を変えることができると人々が感じるために心理的安全性(Psychological Safety)は重要である」
と提唱したのです。これが最近になって大きくクローズアップされたのは、エイミー・C・エドモンドソンHBS教授が、著書「チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ」で「再発見」しました。
しかも、グーグル社内の調査でもこれが証明されているそうです。「プロジェクト・アリストテレス」と名付けられた社内のハイパフォーミングチームの調査では、心理的安全性がカギであると検証されたのです。
心理的安全性がもたらす「なれ合い」の罠
一方で、心理的安全性だけでは十分ではないというのも、ビジネス経験が長い方ならば納得ではないでしょうか。イメージとしては、「甘い上司」。部下に対して、「ここでは失敗してもいいんだよ」、「助けを求めてもいいんだよ」と言うだけでは、チームの雰囲気は「なれあい」になり、成果につながりません。そのような中、メンバーが新たな物事にチャレンジして成長することはあり得ません。
本当に必要なのは、規律と心理的安全性のバランスです。
正しい規律と心理的安全性がセットになったとき初めて成果につながる学習志向のチームが生まれるのです。
実は規律が背後にあったグーグルのプロジェクトアリストテレス
グーグルで考えてみましょう。同社において心理的安全性がカギになったのは、既に規律があるからです。
- 世界中から超優秀な人材が入社を目指して戦っている
- アマゾンやアップル、そしてフェイスブックなどのライバルたちとしのぎを削るビジネス環境
- 転職解雇は当たり前のビジネス環境で成果をあげないと席がなくなる
このような状況を抜きにして、心理的安全性だけに目を向けるのは危険です。
心理的安全性を生み出す研修
では、どうやって心理的安全性と規律を生み出すのか。
それに応えるのが私たちの研修です。
と言って、小難しい話をするつもりはありません。なぜならば、心理的安全性も規律も、生み出すのは現場における一つ一つの行動だからです。
とくに課長クラスのリーダー。
部下への対応の一つ一つ、部下への指示の一つ一つが、部下の心理的安全性を高めたり、損ねたりします。
逆に言えば、「たった一言」を気をつけるだけで、心理的安全性を高めることはできるのです。
研修の内容を具体的に言うならば、一つの柱はコミュニケーションです。それも、一方通行ではなく、部下を起点とした双方向のコミュニケーションを実現させるのがポイント。キーワードで言うと、ファシリテーション研修やコーチング研修が近いでしょう。
ただ、それらの研修を単にスキル獲得のためだけに行うのではなく、心理的安全性につなげていく「しかけ」によって効果が高まります。
もう一つの柱は、チームワークです。
実はチームというのは、人が集まっただけでできるものではない、というのが私たちの考え方です。メンバーが相互に信頼関係を気づき、本音で議論して、お互いを高め合っていく…そんな姿を目指すためにはチームワーク研修も必要なのです。
そして、三つ目の柱はロジカルシンキング研修です。とくに、規律をもたらすためには、部下の考えのどこが間違っているかを指摘する必要があります。そのために、物事を理詰めで考えるロジカルシンキングを研修で学ぶ必要があるのです。